粘液嚢胞の原因を5つに分けて解説
唾液が溜まり過ぎることによって唾液腺がふさがり、直径約0.5~1cmの半丘状にぷくっと膨らみができる粘液嚢胞。
唾液腺がふさがってしまい、嚢胞ができる原因はなんでしょう。実は原因がよくわからず粘液嚢胞になる方も少なくないのですが、それでも粘液嚢胞につながるリスク要因というものは存在しています。
今回は粘液嚢胞ができる5つのリスク要因をわかりやすく解説していきます。
原因その1:凹凸した歯並び
歯列不正があっていつも同じ所で歯の先端などが当たっており、慢性的な炎症を起こしやすい方は粘膜を傷つけてしまい粘液嚢胞ができてしまうリスク要因となります。
歯列不正と同様に、歯の外傷で歯が欠けてしまったりむし歯で歯に穴があいたりした場合も、尖った部分が歯の粘膜を傷つけやすいです。
原因その2:誤って粘膜を噛む
食事の際、誤って頬の内側の粘膜や唇を噛んでしまうこともあるでしょう。この際に粘膜に刺激が加わって傷つけてしまいます。これを繰り返すうちに小唾液腺の出口の管が傷つき、分泌される粘液の流れに障害が起きてしまうことで粘液嚢胞ができると考えられています。
原因その3:悪習癖
誤って噛んでしまうだけでなく、下唇を噛むといった悪習癖がある方も慢性的に粘膜を傷つける原因となるので注意が必要です。
また、悪習癖ではないのですが、固い食べ物を好む方もお口の粘膜を傷つけやすいので粘液嚢胞のリスク要因となります。
原因その4:矯正器具や入れ歯、歯ブラシが当たる
入れ歯や歯列矯正装置がお口に合っていなかったり、装着し始めて間もなくお口に馴染んでいなかったりする場合、粘膜を傷つけてしまって粘液嚢胞につながるケースも。
また、お口のサイズに合っていない歯ブラシを使用し続けることで粘膜内を傷つけることもあります。
原因その5:口内炎
口内炎ができる原因としては、食事バランスの偏りやストレス、ホルモンバランスの乱れなどと考えられています。口内炎で粘膜が傷つけられると、唾液腺にとっても悪影響となる場合もあります。
頬や唇を噛む癖がある方は特にご注意を!
粘液嚢胞の膨らみが大きい、嚢胞を繰り返して慢性化するなどのケースでは外科的手術によって唾液腺を取り除くこともあります。嚢胞そのものを摘出すれば再発の可能性はすくないです。
しかしながら、頬や唇を噛むなどさまざまな悪習癖を改善しないままでいると、ふたたび噛んだ箇所が刺激され、粘液嚢胞が再発する可能性も。したがって悪習癖のある方は歯科医院と相談して悪い習慣を改善していく必要性があります。
真っすぐor斜めor横向き・親知らず抜歯方法をケース別に解説
親知らずは最後に生えてくる歯ですが、生えるスペースがなく斜めに生えたり、むし歯や歯肉炎を引き起こすことが多いため、抜歯が必要になることがあります。
今回は、抜歯の方法から治療費用、抜かずにいるとどんなリスクがあるのか?まで、ケースごとにご説明します。
親知らずの生え方①:真っすぐ
抜歯方法
歯ぐきの腫れなどがない状態で抜歯を行うのが前提です。抜くことは比較的簡単な場合が多いので、痛みや腫れも少ないです。
親知らずの周囲に麻酔を行ったあと、ペンチのようなものを使って親知らずを左右にゆっくりと動かし、脱臼させてから抜歯を行います。
治療費用
歯科医院によって若干異なりますが、処置代は2000円〜3000円程度となります。(初診代やレントゲン、清掃代などを除く)
抜かずに放置すると、どんな問題があるか?
真っすぐに生えているとはいえ、歯ブラシを当てるのは大変難しいです。そのため、親知らずやその手前の歯まで悪影響を及ぼして、むし歯になりやすいリスクがあります。
親知らずの生え方②:真横(水平埋伏)
抜歯方法
真っすぐに生えている親知らずの抜歯方法よりも少し複雑になります。歯ぐきの切開と歯冠分割といって、歯の頭の部分だけを取り出す処置を行ったあとに、歯の根っこを抜歯していきます。
歯ぐきを切開しているので、抜歯後は縫合(糸で歯ぐきを縫う)します。そのため、抜糸の処置も必要になります。
また、下の親知らずの場合、下歯槽神経との距離を確認して神経を傷つけないように配慮しながら慎重に抜歯を行います。
治療費用
歯科医院によって若干異なりますが、処置代は3000円〜5000円程度となります。(初診代やレントゲン、清掃代などを除く)
抜かずに放置すると、どんな問題があるか?
親知らずが真横に生えていると、手前の7番目の歯に圧力をかけ、下の前歯の歯並びを崩すことがあります。また、歯の痛みだけでなく頭痛の原因にもなることがあります。
親知らずの生え方③:斜め(半埋伏)
抜歯方法
真横(水平埋伏)タイプの親知らずと処置は似ており、歯ぐきをメスで切開して開き、親知らずを露出させ、歯冠分割で手前側の歯を取り除きます。そのあとに歯の根の部分を取り除きます。抜歯後は歯ぐきを縫合します。
治療費用
歯科医院によって若干異なりますが、処置代は3000円〜5000円程度となります。(初診代やレントゲン、清掃代などを除く)
抜かずに放置すると、どんな問題があるか?
親知らずの中で最も問題が起こりやすいのはこのタイプです。
歯ブラシでの清掃やうがいでの除去ができないため、手前の歯との間に細菌が蓄積され、感染が広がり、親知らずや手前の歯に歯肉炎、むし歯が発生するリスクが高くなります。
親知らず抜歯後、いつまでも痛いのはなぜ?理由を解説します
親知らずの抜歯後、痛みがある期間や理由はさまざまです。通常、親知らず抜歯後の痛みのピークは2~3日と言われていますが、4日以上経っても痛みを感じる方も少なくないです。
今回は、親知らずを抜歯したのに、いつまで経っても痛むのはなぜか?について、考えられる4つの理由を解説します。
痛みのピークは親知らず抜歯後~2日程度
親知らず抜歯後の痛みのピークは麻酔が切れた直後であり、抜歯当日はズキズキと痛むことがあります。そのため、処方された痛み止めや抗生物質は指示通りに服用することが大切です。
その後、痛みは2~3日程度続きますが、そのあとは徐々に痛みは軽減していきます。抜歯後の腫れは抜歯後2日目ぐらいがピークとなり、上の歯よりも下の歯の抜歯のほうが痛みや腫れが大きい傾向があります。
親知らずの抜歯後、いつまでも痛い4つの理由
ドライソケット
ドライソケットとは、抜歯後の歯が抜けた穴に血が溜まらず、骨が露出した状態のことを指します。
ドライソケットはかなりの痛みを伴い、強い痛みが10〜14日ほど続きます。通常1ヶ月程度で治りますが、数ヶ月続くケースもあります。
原因としては、うがいのし過ぎや歯磨きを傷口に当ててしまう、または飲酒や喫煙などが原因となることも。
ドライソケットを予防するためには、以下の3点に気を付けてできる限り抜歯した箇所をいたわるように心がけましょう。
・抜歯から数日間は頻回のうがいを控える
・食事の際は、抜歯した歯の反対側の歯を使って噛むように心がける
・歯磨きの際は抜歯した箇所は避けて歯磨きする
また、痛み止めを使っても痛みが治まらない場合は早めに歯科医院に相談して指示を仰ぐようにしてください。
縫合した糸がつっぱっている
歯を抜いた後は、穴が空いている状態になるため、必要に応じて縫合する場合があります。縫合した場合は1週間程度で抜糸をしますが、歯ぐきが早く治った場合は抜糸前に歯ぐきがつっぱり、痛みを感じることも。この場合は抜糸を行えば痛みが和らぐこともあります。
抜歯したところが細菌感染を起こしている
抜歯したところが細菌感染を起こして腫れている場合などは1週間ほど痛み続ける場合もあります。
このような細菌感染を起こさないためには、特に抜歯後の痛みがなかったとしても、処方された抗生物質を出された分だけきっちりと飲み切るということが大切です。
難しい抜歯だったとき
親知らずを抜歯する際に、歯の周りの骨にどれだけ負担がかかるかで、抜歯後の痛みの程度が決まります。
例を挙げると、抜歯の際に歯が炎症を起こしていた場合や、根っこが長くて骨を抱えている場合、親知らずの生え方が真横や斜めに向いており、抜歯に時間がかかった場合などが考えられます。
これらのケースでは、抜歯後の痛みが長引くことがありますが、1週間以内には治まることが多いです。
親知らずの生え方を知ろう! 抜歯の難易度や抜く可能性まで解説
親知らずの生え方によって抜歯の難易度が異なることをご存じでしょうか?この記事では、親知らずの生え方の種類から抜歯の難易度の目安、抜かないといけない可能性について、詳しく説明します。
抜歯に関する不安を解消するためのご参考にしてください。
一般的な親知らずの生え方
親知らずは、他の歯が生えそろった後に生えてくることが一般的です。上下左右どの歯並びにも生えてくる可能性があり、他の歯と同じように生えることが期待されます。
しかし、親知らずの生え方には個人差があります。ごく一部の人は真っすぐ綺麗に生えてきます。しかし、親知らずの生えるスペースが足りず、斜めに生えたり半分埋まったりした状態でそれ以上生えてこないなど、親知らずになんらかの課題を抱える人の方が多いです。
親知らずの生え方の種類
親知らずの生え方は大きく分けて3種類です。それぞれの生え方について、抜歯をする際の難易度と抜かないといけない可能性を分かりやすく、★1つ~★3つで表しています。
また、下記の基準はあくまでも目安です。なぜならば、親知らずの抜歯難易度の判断基準は生え方そのものよりも、歯の位置の深さや歯の根っこの数、神経とどれくらい近いか?といった判断の方が重要であるためです。
したがって、参考程度に留めておくようにしてくださいね。
親知らずが真っすぐに生えている場合
抜歯の難易度……★
抜かないといけない可能性……★
親知らずが上下で真っすぐに生えている状態でしっかりと噛み合っている場合は、特に抜歯の必要性がありません。トラブルは起きにくいのがこのパターンですが、頻繁に痛むなどなにかしらの理由で抜歯しないといけなくなった場合でも、比較的スムーズに抜歯できることがほとんどです。
親知らずの生え方が横向きor斜めに生えている場合
抜歯の難易度……★★
抜かないといけない可能性……★★★
要するに、歯が一部だけ出ている親知らずのタイプです。このような生え方は、歯磨きがしづらく、虫歯や歯周病になるリスクが高いです。
腫れや痛みを繰り返しやすいので、抜歯をした方が良いケースが多く、スムーズに抜けないことがほとんどです。基本的には歯の根っこを分割してから抜歯するので抜歯の難易度も比較的高い傾向にあります。
親知らずが歯ぐきのなかに埋まっている場合
抜歯の難易度……★★★
抜かないといけない可能性……★
歯ぐきのなかに埋まっている親知らずは、レントゲン写真で確認することができます。
抜歯方法としては斜めに生えているケースと似ているのですが、より深い位置に埋まっていることが多くあるため、難易度が高くなる傾向にあります。
まとめ
親知らずの生え方は、個人によって異なりますが多くの人は生え方になんらかの問題を抱えているのが一般的です。
抜歯の難易度や悪い生え方のリスクについて知ることで、親知らずのケアに役立てることができます。
定期的な歯科検診や専門家のアドバイスを受けることで、親知らずの問題を早期に発見し、適切な対処を行いましょう。
抜かないといけない? 矯正中に親知らずが生えてきた場合
「歯列矯正をしたいけれど、親知らずが生えている。」「歯列矯正中のときは、親知らずを抜歯しないといけないのかな…。」とお悩みでしょうか?
今回は、歯列矯正にまつわる親知らずの抜歯の可能性についてお伝えしていきます。
基本的には抜歯の可能性が高い
矯正治療において、親知らずが生えてきてしまったら抜歯を行うのが一般的です。
歯列矯正をする人のほとんどが、歯を並べるための十分なスペースが確保できていないから矯正治療を行うわけなので、親知らずも真っすぐに生えてこない可能性が高いです。
したがって、親知らずは横向きになったり、斜めに生えてきたりするリスクが考えられます。
つまり、せっかく矯正治療をしているのに、親知らずが矯正治療の邪魔になってしまうということです。
そういった事態を避けるために、親知らずは抜歯する傾向が多いです。しかし、あくまでも傾向の話なので、今後の矯正治療に悪影響がなければ必ずしも抜歯する必要はありません。
親知らずの抜歯をしなくて良い場合
矯正治療中においても、親知らずを抜歯する必要がない場合があります。
下記のいずれかの条件が揃っている場合、矯正治療を行っていても親知らずを残すことができる可能性があります。
・親知らずがしっかりと機能している(真っすぐ生えていて上下の歯が噛み合っている)
・完全に骨のなかに埋まっている
歯列矯正中の親知らずの抜歯タイミングは?
歯列矯正の親知らずの抜歯は、矯正治療を始める前に行うのが一般的です。しかし、矯正治療中や矯正治療後に親知らずの抜歯を行うこともあります。
矯正治療中に抜歯する場合は、歯ぐきの切開や歯のなかの骨の削合など外科的な処置が必要な場合が多く、特にワイヤー矯正の抜歯は難易度が高いです。抜歯後は傷口の清潔さを保つ必要があるのですが、矯正装置があると汚れがたまりやすく感染リスクがあります。
また、矯正治療中に抜歯すると、歯周組織や骨の喪失が起こる可能性があり、やはり矯正治療中に抜歯するのは好ましくありません。
このように、矯正治療の観点からも、親知らずの抜歯は矯正治療前に行うのがベストです。
基本的には抜歯の可能性が高い
一般的には、矯正治療中に親知らずが生えてきた場合は抜歯が必要とされます。親知らずの抜歯は一般的に矯正治療前に行われます。矯正治療中や治療後に抜歯することもあり得ますが、外科的な処置が必要であり、周辺の歯周組織への感染リスクなどさまざまなことを考慮しなければなりません。
問題のない親知らずは、そのまま保存して矯正を行うこともあります。歯科医師とコミュニケーションを取りながら前向きに矯正治療に取り組みましょう。
粘液嚢胞とは? 唾液腺の詰まりでできる袋状の嚢胞を解説
「水ぶくれがお口の中に繰り返しできる」「長期間口内炎が治らない」などとお悩みですか?これらの症状は、粘液嚢胞(ねんえきのうほう)の可能性が考えられます。
粘液嚢胞は、自然に潰れて小さくなるケースもありますが、再発を繰り返すことが多く、放置しても治ることはほとんどないです。
粘液嚢胞がどんな疾患であるのか基礎から知りたい方、長引いている口内炎はもしかすると粘液嚢胞かも?と疑っている方のご参考にしてください。
粘液嚢胞が発生するしくみとは
お口の中の粘膜には、小唾液腺といって唾液を作ったり粘膜を保護したりする器官があります。小唾液腺の大きさは米粒くらいですが、口の中の粘膜を常に湿らせておくという働きがあります。
この小唾液腺から分泌される粘液が、外傷や悪習癖、慢性炎症などの理由によってうまく流れることができず、唾液の管が閉塞します。閉塞した粘液は腺管内にどんどん溜まっていき、組織内に嚢胞を作ることがあります。これを粘液嚢胞と呼びます。要するに唾液が溜まっている状態ということです。
粘液嚢胞の好発部位・年齢とは
粘液嚢胞ができやすい部位は、舌の裏、下唇の内側や、頬の内側となります。名前のとおり、歯や歯ぐきにはできず、お口の粘膜部位や舌にできるのが粘液嚢胞ということです。
なぜ、唇や舌に粘液嚢胞ができやすいのでしょうか?それには理由があります。前述した通り、粘液嚢胞の原因には悪習癖や外傷が含まれます。ですので、下唇や頬を誤って噛んだり、歯ブラシや食べ物でお口の中を傷つけた際に粘液嚢胞ができてしまうわけです。
粘液嚢胞は10歳未満の子供から30歳代にかけて多い疾患で、比較的若年層に見受けられます。性差はありません。
粘液嚢胞の症状や大きさについて
粘液嚢胞の大きさは直径5〜15mm程度の丸くて軟らかい嚢胞で、5mmくらいが大多数です。自覚症状はない人がほとんどで、あったとしても腫れたような感覚がある程度です。また、腫瘍ではないので悪性化することはないです。何らかの理由で粘液嚢胞が傷ついたり破れたりした後は短期間だけ痛む場合もあります。
嚢胞の中はどんな様子が確認できるでしょうか。嚢胞の中は唾液が溜まった状態で、うすい黄色で粘り気のある液体です。表在性の粘液嚢胞は内容液が透けて確認できます。
嚢胞が大きくなると青紫色になり、血管も透けた状態で確認できます。深在性の場合には正常な粘膜で覆われていることもあります。また、噛んだりして再発を繰り返したものは、やがて嚢胞の表面が硬くなって白っぽくなっていきます。
歯根嚢胞の治療3選|急性症状の際の応急処置まで解説
歯の根っこに膿が溜まった状態を指す「歯根嚢胞(しこんのうほう)」。歯医者で歯根嚢胞だと診断された場合、治療の選択肢としては、根管治療(歯の神経を触る治療)、嚢胞摘出術、抜歯の3つに大別されます。
簡単に言いますと、むし歯が原因でできてしまった歯根嚢胞であれば、根管治療で対処するケースが多いです。根管治療を行っても症状が改善しなかったり、嚢胞が大きかったりするケースでは嚢胞摘出術を行う場合もあります。
今回は、これら3パターンの歯根嚢胞の治療方法について、それぞれ説明していきましょう。
歯根嚢胞の治療①根管治療
根管治療とは、歯の神経を取り、根っこの部分をキレイにして無菌状態にする治療のことを指します。歯の神経を取ったあとは根っこの中に薬をつめて、ふたたび感染するリスクを防止するために詰め物をして密閉します。
根管治療は、歯根嚢胞が比較的小さい状態で行うことが多いです。この根管治療が適応できないようなケースでは別の治療パターンで検討していきます。
歯根嚢胞の治療②嚢胞摘出術
嚢胞の大きさや根の状態、またはかぶせ物を外せない場合は根管治療では対応できない場合があります。そのようなケースでは外科的手術である「嚢胞摘出術(のうほうてきしゅつじゅつ)」を視野に入れて検討していきます。
歯根嚢胞を摘出する処置の際、歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)といわれる治療法が適応されることが多いです。歯根端切除術とは、感染した歯の根っこの尖端部の切除とともに嚢胞の摘出を行う治療法を指します。
歯根端切除術は歯ぐきを切開して剥がしたり顎の骨を削ったりする外科的な処置を含みますので、患者さんの負担も大きいです。
術後の骨の再生に半年〜1、2年かかるケースもありますし、術後の腫れも抜歯よりも強く目立つことも。ですので、歯根端切除術を行うには見極めが必要だと言えます。
歯根嚢胞の治療③抜歯
歯の骨の状態が悪い場合や根っこの方まで歯が割れてしまっている場合、最終手段として原因歯の抜歯と同時に嚢胞の摘出を行います。
抜歯を行った後は、入れ歯やインプラント、ブリッジによるかぶせ物で失った歯を補います。
急性症状のとき:排膿して抗生物質処方
歯ぐきに膿が溜まり大きく腫れたり、強い痛みがあったりなど急性症状の場合は、歯ぐきを切開して排膿し、膿を出すことで痛みを引かせます。
切開排膿を行ったあとは痛み止めや抗生物質などのお薬も処方し、経過を見ていきます。切開排膿はあくまでも応急処置なので、症状が落ち着いたら根管治療や嚢胞摘出手術などの治療が必要です。
歯根嚢胞はサイレントキラー|5つの症状を解説
歯根嚢胞は症状がほぼないまま、ゆっくりと大きくなるため自覚症状のない人が多いです。
歯根嚢胞は歯の治療でレントゲン撮影した際に発覚することも珍しくありません。初期段階は無症状ですが、感染が進行し、顎の骨のなかに膿が溜まってくるとズキズキとした痛みが出てきます。
このようにサイレントキラーとも呼べる歯根嚢胞ですが、具体的なよくある症状を4つ挙げていきます。歯根嚢胞かもしれない…と、ご心配な方のご参考にして下さい。
症状①歯ぐきに白いおできがある
初期段階の歯根嚢胞は、顎の骨のなかに膿がとどまっている状態ですが、放置し続けると顎の骨を溶かしながら膿の袋が広がっていき、骨をむしばみます。
やがて膿の袋が歯ぐきを突き破ってフィステル(ろう孔)を作ります。膿を排泄するために穴を作っているわけです。これらの過程を経て、歯ぐきに白いおできが出来るのです。
嚢胞に膿が溜まり続けると、歯ぐきから膿が出てくるケースもあります。うまく膿が排出されないと内圧が高くなり、歯ぐきが腫れて強い痛みが出てしまう場合もあります。
症状②歯を噛んだ際の痛みがある
歯の根の周りには触覚や痛覚を感じる「歯根膜」という組織が存在します。食事の際に固い食べ物や軟らかい食べ物を判断する大切な組織です。
この歯根膜に歯根嚢胞の細菌が感染すると、歯を噛んだ時に痛みが出ることがあります。
症状③歯が浮いた感じがある
歯根嚢胞が進行すると、歯や膿の袋を体の外に押し出そうという作用が働きます。その際に歯そのものを外に押し出す力が働くため、人によっては歯が浮く症状が出ます。
症状④頭痛がある
上顎の奥歯に歯根嚢胞がある場合、鼻の空洞である副鼻腔に近くなります。そうすると細菌が副鼻腔にまで侵入してしまい、頭痛が出る方もいます。このような場合は副鼻腔の1つである上顎洞にまで炎症が進行している可能性があります。
上顎洞炎が起こってしまうと膿の悪臭や歯や頬の痛み、頭痛を感じることもあります。
歯根嚢胞は慢性化しやすく、自覚症状も少ない
前述したように、歯根嚢胞は少しずつ慢性的に進行していく病気です。また、歯根嚢胞に痛みが生じることは稀ですので、定期検診のレントゲンなどではじめてわかることもしばしば。
急に歯ぐきが腫れ上がって痛みが出ないように、歯根嚢胞リスクがある方は定期的な検診で歯の根っこや顎の骨までチェックする習慣が必要と言えます。
歯根嚢胞の原因は細菌感染! 神経を取った歯にも嚢胞はできるのか解説
歯根嚢胞(しこんのうほう)とは、一言でいうと歯の根の奥にある嚢胞です。
一般的には聞きなれない歯科用語かもしれません。しかし、歯根嚢胞の発生頻度はとても高く、顎の骨の中に生じる嚢胞の中でも約50%以上が歯根嚢胞と言われています。
今回は、なぜ顎の骨の中に嚢胞を作ってしまうのか?といった原因から、実際にどのような方が歯根嚢胞を起こすのか?といった具体例まで挙げていきます。
歯根嚢胞の原因は細菌の感染
歯根嚢胞は歯の根の奥に膿が溜まり、細菌感染を起こしている状態を指します。
歯根嚢胞ができるパターンを大別すると、下記3パターンです。
・神経が死んでいる歯
・既に神経を取る治療をした歯
・歯や歯の根っこが割れた
つまり、生きている健康な歯に歯根嚢胞はできないと言うことです。
歯根嚢胞の具体例①むし歯の慢性化
歯根嚢胞になりやすい例を具体的に挙げていきます。1つ目はむし歯を放置し続けてこじらせてしまって歯根嚢胞になるパターンです。
むし歯菌が歯を溶かし、細菌が歯の奥へと進行していくと、歯の神経に達します。ここで細菌感染を起こし、遅かれ早かれ歯の神経は死んでしまいます。死んだ歯の神経は腐って溶けていき、むし歯菌の巣窟になってしまいます。
さらに、むし歯菌が歯の根の奥に達すると、周囲の骨に膿を溜め、初期段階では根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)という病気が発生します。根尖性歯周炎自体は、歯の根の先に膿がとどまっている状態ですが、放置し続けるとやがて慢性化して歯根嚢胞に変化していくのです。
このような理由で細菌感染が起こると、膿が根の奥を通り、顎の骨に溜まっていくというわけです。
歯根嚢胞の具体例②根管治療を行った後の歯
次に、歯根嚢胞ができる2つ目のパターンは、歯の神経を取ったあとの治療歯です。
「え?歯の治療をしたのに、膿ができてしまうの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。ここで、歯根嚢胞につながる理由を解説していきます。
歯の神経を取る治療、これを「根管治療」と呼ぶのですが、根管治療の際に神経の代わりになるお薬(根管充填材)を詰めていきます。根管充填材は細菌と比べるととても大きく、いくら緊密に詰めたとしても、根管充填材のすき間から細菌が入り込んでしまって、根尖性歯周炎から歯根嚢胞へと進行していくのです。
歯根嚢胞の具体例③歯の根っこが割れたとき
外傷などで歯に大きな衝撃がかかると、歯や歯の根っこに割れたりヒビが入ったりすることがあります。割れたすき間から細菌が侵入して歯の根っこに膿の袋を作るケースがあります。これを歯根破折と言うのですが、歯根破折した歯は歯根嚢胞のリスクが高まります。
セカンドオピニオンのトラブルを避ける!上手な受け方4つのポイント
今回はセカンドオピニオンに関するトラブルを回避するための対策法をご紹介します。セカンドオピニオンの恩恵を受けられるよう事前に確認しておくべきことを、一緒に確認していきましょう。
①現在の担当医に紹介状をもらってからセカンドオピニオンを受診するのが基本
原則的には現在の主治医に各種検査結果を含む紹介状をもらってから、別の歯医者をセカンドオピニオンするのが基本です。なぜならば、セカンドオピニオンを求められた歯科医師にとって、客観的かつ適切な治療方針を患者さんに伝えるために、紹介状はとても大切な情報源となるからです。
「今の担当医の心証を悪くしたりしないだろうか…」と担当医に内緒で別の歯医者を受診する患者さんもなかにはいらっしゃいますが、決して遠慮する必要はありません。担当医にとっても他の歯科医師から違った考えや有意義な意見を得られることが多いセカンドオピニオンはよい機会になることもあるのです。
②信頼できる人と情報を共有する
患者さん1人で治療内容を理解しようとすると狭い視野になり、解釈が偏ることも。家族や友人関係など、信頼のおける人にも自分の情報を共有して、さまざまな意見をもらうようにしましょう。
また、緊張してうまく伝えられる自信がない人や治療説明を受けても断片的にしか理解できないかもと不安に思う方は信頼できる人と一緒にセカンドオピニオンを受診されるのもよいでしょう。こういったケースでは客観的に受け入れられる第三者の存在は重要です。
③もとの歯医者に戻る選択肢もあるということも知っておく
セカンドオピニオンを受けた歯科医院へ転院しなければいけないという決まりはなく、あくまで第2の意見をもとに患者さん自身で判断するための相談の機会がセカンドオピニオンです。
別の歯科医師から聞いた治療法に納得いかない場合は、以前の担当医にまたお願いしてみることもよくある話です。
今の担当医にセカンドオピニオンの旨を伝えるときは「先生の方針は理解しているのだけれども、この疾患の理解をさらに深めたいので……。」など、一定の理解や配慮を示す対応を取っておけば、後々どんな選択肢を選んでも気まずくなりにくいでしょう。
④セカンドオピニオンに時間をかけ過ぎない
当たり前の話ですが、時間が経てば経つほど病状は進行してしまいます。よりよい医療を求めるあまりに考える時間を多く取り過ぎると、本末転倒になってしまうことも。
ホスピタルショッピングにならないよう、それぞれの歯医者の意見のメリットとデメリットを俯瞰的に理解できる力も、セカンドオピニオンには必要と言えます。