むし歯治療のトラウマをなくすために心がけていること
こんにちは。ユキデンタルオフィス・院長の小場です😀
むし歯治療をおこなう際に「キュイーン」という、あの耳ざわりな音・・・。
子どもはもちろんのこと、大人の方であっても決して気持ちのよい音ではありませんよね。
想像しただけで恐怖心がよみがえってくる方も、なかにはいらっしゃるのではないでしょうか。
患者さんが歯医者で感じる「恐怖心」の根底には2つの原因があると思っています。
1つ目は「肉体的な痛みからくるもの」
2つ目は「精神的な理由によるもの」です。
ユキデンタルオフィスでは、恐怖心の根元の問題である痛みやトラウマを取り除いて、歯医者へ向かう足取りをすこしでも軽くしたいと常に考えています。
幼少期の歯科トラウマは生涯に渡って記憶に残るもの
むし歯治療で特に注意を払わねばいけないのは小さな子どもさんです。
なぜならば、子どものときの「歯医者さんで痛いことをされた!」「無理やりおさえつけられた」といった記憶は、生涯に渡って根深く残るからーー
そう確信したのは、長年の臨床経験によるものです。
大人の患者さんのなかでは、重度のむし歯を長期間に渡って放置しており「もう抜歯するしか為す術がない」と思えるほどになってから来院される方もなかにはいらっしゃいます。
そのなかで「子どものころに歯医者でひどく痛い思いをしたから、ずっと歯医者を懸念していた」という幼少期の苦い経験を打ち明けてくれる方はすくなくありません。
しかし、こういった方がわざわざ重い腰を上げて当院に来てくれたのに、すでにむし歯の進行が進みきっているので、効率的な治療を施すのが困難になるのです。
典型的な悪循環ですよね・・・。
「もっと早く来てくれれば、痛みも治療期間もすくなくなるのに・・・。」
歯科医師として、いつも悲しい気持ちになります。
そういった背景から、私は「小さな子どものときから歯医者へのマイナスイメージを与えてはいけないのだ」と痛感しているのです。
子どもの治療に対する当歯科医院の考え
ユキデンタルオフィスでは、子どもさんのやる気を引き出して「治療としっかり向き合える環境作り」を重視しています。
(大人でもそうですが)だいたいの子どもさんの場合は、1回ですべてのむし歯治療は終えられないと思っていただいた方がよいです。
要するに何回か通院が必要となるので、初歩的な段階から恐怖心を与えてしまっては、治療のゴール(むし歯完治)が遠のいてしまいます。
お子さんの治療は「決して焦らず、ゆっくり段階を踏んで治療を進めていくこと」が肝になってきます。急がば回れ、なのです。
例を挙げると
・初診時はむし歯に使う器械に慣れてもらうだけで終わらせる
・初期段階の簡単なむし歯の治療からはじめて「思っていたよりも痛くない」「これなら我慢できる」を実感してもらう
・麻酔を使用した上級者向け治療はあえて後からおこなう
こういった工夫で徐々に、お子さんの自信と信頼関係を育てていきます。
ユキデンタルオフィスでは妊婦さんからご高齢の方、すべての世代に安心して通っていただける取り組みに今後も努めて参ります。
むし歯が発生するしくみとリスク
こんにちは。ユキデンタルオフィス・院長の小場です😀
今回は「そもそもどうやってむし歯になってしまうの?」といった原因論についてと、むし歯治療をおこなった「そのあとのリスク」に関してもお答えしていきます。
むし歯になるしくみとは
むし歯が発生してしまう第一の原因は「むし歯菌(ミュータンス菌)が出す酸」によるものです。
ミュータンス菌は、食物に含まれる糖質をエサにして酸という糞のようなもの(代謝物)を出して、その酸によって歯が溶かされて穴が開いてしまう状態を作り出します。
歯は酸性環境に対して非常に弱いので、むし歯菌によってお口のなかが酸性状態になり続けると、歯が溶けてくるというわけです。
そのほかにも、むし歯は「環境的素因」と「遺伝的素因」の2つが大きく影響していると考えられていますので、むし歯を予防していくためには、この2つが重要なキーワードとなってきます。
・環境的要因……むし歯菌が滞在している時間や糖質の多い飲食物を召し上がる
・遺伝的要因……生まれ持った歯の質やだ液量、歯並びなど
などが挙げられます。
歯周病菌とむし歯菌の違い
ちなみに、以前のブログ「歯周病が発生するしくみとリスク」でも歯周病のしくみについてお伝えしたのですが、歯周病菌とむし歯菌に関して大きく違うところが1つあります。
皆さん、分かりますか?
それは、むし歯菌は「細菌そのもの」が悪さを起こして歯が溶けてしまうのに対して、歯周病菌は、細菌から逃れるために歯が防御反応を起こした結果「自らが」顎の骨を溶かしてしまう、という点。
歯や顎の骨に対して悪さを働くという点においては一緒なのですが、根本的な作用はまったく違うのです。
少々、難しいクイズでしたね😅
むし歯を治したあとのリスクとは
むし歯の部分を削ったあとの歯はプラスチックや金属の詰め物、神経を取った歯に対してはかぶせ物を装着します。
しかし、治療すればずっとむし歯にならず安心だ、というわけではないのです。
「なぜ治療した歯がむし歯になってしまうのだ」といった声が聞こえてきそうですが、残念ながら、これは人工物の宿命です。
歯とかぶせ物の間には月日を追うごとに微細な「すき間」があらわれ、すき間から二次的なむし歯になることがあります。
また、詰め物の材質によっては天然歯よりもプラーク(汚れ)がつきやすく、神経を取った歯は痛みこそ感じないものの、栄養源の補給ができない状態にあるので非常にもろく、歯が割れるリスクが高まってしまうのです。
ユキデンタルオフィスでは、むし歯を治したあとのリスクについてもしっかりと説明し、患者さんに最適なかぶせ物や詰め物の提供に努めています。
歯石除去は自分でできるのか?
こんにちは。ユキデンタルオフィス・院長の小場です😀
ときどき、患者さんから「歯石除去を自分でやっている」と言われることがあります。
患者さんとしては「歯の汚れを取るだけで、わざわざ歯医者にかかりたくないから自分でやってしまいたい」といったお気持ちなのでしょう。
しかし、本当に歯石は自分で取れるのでしょうか?
結論から言いますと、自分で歯石を取る行為は、メリット以上にリスクが多過ぎるので決しておすすめはできません!
部分的な歯石除去だったら自分でもできる?
通販サイトを確認すると、実際に私たちが現場で使用しているものに近い手用スケーラー(手で歯石を取る器具)が販売されていましたので、医療従事者でなくとも手に入りやすい世の中になってしまっているのが現状です。
こうなれば、患者さん側としても「自分でも歯石は取れるのでは?」と思ってしまっても無理はないでしょう。
たしかに、下の前歯など鏡で確認しやすい箇所であれば、手先の器用な方でしたら自身でもおこなえるでしょう。
しかし、あくまで「ごく一部の歯石除去」しかできません。
歯石は自身で確認ができない箇所にこそ、たくさん付着している可能性があるのです。
自分で歯石除去をおこなったときのリスク➀
歯石は、とくに付着しやすい箇所があります。
それは「下の前歯の裏側」と「上の奥歯のほっぺた側」。
なぜ上記の場所にたまりやすいのかというと、歯石は歯垢がだ液の成分と固まり石のような硬さの「歯石」になるので、だ液が多く分泌されているところに、よりたまりやすいから。
ほかにもブラッシングのときに出血した歯は歯周病の可能性があり、歯石が付着しているケースが十分に考えられます。
要はどの場所であっても歯石は付着するので、鏡で見えるところだけ歯石除去をしても、残念なことにあまり意味はないのです。
ちなみに、歯科医師である私自身でも(下の前歯の歯石を取るのならまだしも)上の奥歯の歯石を取ることは到底不可能です。
自分で歯石除去をおこなったときのリスク②
自身で歯石除去をおこなったときの、もう一つの大きなリスク。
それは「中途半端に歯石を取ると、さらに歯石がたまる環境を作り出す恐れがある」ということ。
「せっかく歯石を取ったのに、またすぐに歯石がつく」とは、一体どういうこと?と感じた方もおられるでしょう。
実は、歯石や歯周病菌はデコボコしている面により付着しやすい性質を持っているのです。
自分で歯石を取れたとしても、完璧に取り切ることはまず難しいでしょうから、かえって歯の凹凸を作り出してしまい、さらに歯周病菌が付着しやすい悪循環を自ら生み出してしまう場合があります。
歯石を取ったあとは、どうしても歯面が粗造になります。
ユキデンタルオフィスの予防処置では、歯石を取ったあとは専用の研磨剤を使用して、ていねいに磨き上げ歯の表面を滑らかな状態にして、歯石の再付着を予防します。
歯周病菌は人から人へうつるのか
「私のお口のなかにある歯周病菌は、子どもに感染するのでしょうか」――まだ小さなお子さんがいる保護者の方からこういった質問をよく受けます。
結論を言いますと、歯周病菌は細菌の一種ですので、世間を賑わせている新型コロナウイルス菌と同様に人から人へ感染します。
生まれたての赤ちゃんに歯周病菌はいない
歯周病菌やむし歯菌は、親子間や夫婦間など家族関係から感染する場合が多いです。
つまりリスクファクターは「日常的に濃厚接触をせざるを得ない方」となり得ます。
考えてみると、生まれたての赤ちゃんに歯周病菌やむし歯菌はいませんよね。
歯周病菌やむし菌は、だ液のなかに潜んでいるので、たとえば「キスをする」「近い距離で話しかける」「食器を共用する」などといった行為や習慣から感染すると考えられています。
何歳ごろに歯周病菌をうつされるのか
では、歯周病菌は一体いつ頃のタイミングでうつされているのでしょうか。
小学生くらい?それとも成人してから?
実はさらに前の段階、なんと「よちよち歩き」のころから歯周病菌やむし歯菌をうつされている可能性があります。
(「感染の窓」といって、1歳7カ月前後に感染のピークを迎える時期と言われています。)
また、1歳を過ぎたころと言えば、多くのお子さんが離乳食の時期が終わる時期でもあり、幼児食へ移行する時期です。
このころには食べられるメニューも増えていますし、保護者のなかには大人と同じお菓子・味付けで食べさせている方もいらっしゃるようです。
こういったさまざまな生活背景があり、結果的にお子さんがむし歯になってしまうわけですね。
「うつされる」と「感染する」は違う
このような話を聞くと「スキンシップは控えるべきなのか」と思われるかもしれません。
しかし、小さなお子さんへのスキンシップは親子間の愛着関係と非常に深い結びつきがありますので「木を見て森を見ず」の状態になりかねません。
わかっていただきたいのが、歯周病菌がお口のなかに入ってきたとしても、歯周病菌単体であれば悪さを起こさないということ。
歯周病が爆発的に増殖すること(=感染)が問題なのです。
つまり、歯周病菌がお口に入ってきたとしても、それ自体を恐れる必要はなく、増殖できる環境でなければ歯周病は発症しません。
>>「家庭でできる歯周病予防とは」
お子さんのいるご家庭へ向けたアドバイスとしては「食器の共有などは止めた方がベターですが、スキンシップ自体は減らさないでも大丈夫」とお伝えしたうえで「家族すべての方にむし歯菌・歯周病菌を減らす努力を心がけていただくことも忘れないように」と、付け加えています。
歯周病菌を減らす具体的な対策は
・3カ月ごとのメンテナンスを受けて歯のクリーニングを受けていただく
「予防歯科(むし歯・歯周病・粘膜疾患の予防)」
・正しい歯磨き方法で毎日ブラッシングする
・キシリトール配合のガムなどを毎日召し上がっていただく
これらの心がけで歯周病菌・むし歯菌を減らす対策をしていれば、さほど神経質にならなくても心配はいりません😀
当院の歯周病治療費・回数の目安
「今日の治療費は一体いくらだろう……」「先生に歯周病の治療が必要だと言われたけど、歯周病の治療っていくらかかるの?」など言ったように、治療費に関しては頭を悩まされますよね。
保険診療の歯科治療費の目安
また「今日こそは治療費について聞きたい!」と心の内では思っていても、いざ歯医者へ到着すると痛みへの恐怖心や緊張感などが相まって、結局は聞くタイミングを逃す方も少なくないようです。
歯周病治療の90%以上は保険適用
ユキデンタルオフィスの歯周病にまつわる治療費用に関しては、基本的に健康保険が使えますのでさほど高額な費用は請求しません。
しかし、例外的に健康保険の適用外(自費治療)となるケースもあります。
それは重度の歯周病で抜歯の必要性が出たケースに、自費治療となる義歯・インプラントを選ばれた場合。
もちろん、健康保険が使える入れ歯やブリッジの被せ物も患者さんご自身で決めていただけますので、費用面を気にされる方はどうぞご安心なさってくださいね。
歯周病の治療費用と回数
➀初期歯周病のケース
通院回数は4回(週1回通院なら1カ月)程度が目安で、費用は総額で約8000円ほどです。
初期の歯周病治療では、歯石除去を中心に炎症を起こした歯ぐきの改善をおこないながら、セルフケアのスキルアップをはかります。
初期治療が終わったあとは3カ月ほど経過を観察し、再び退院していただきます。
その際に歯ぐきの炎症がすっかり治まっていれば、定期検診にうつりますし「まだ炎症が引いていないな~」となれば、さらに1カ月ほど治療に専念してもらいます。
②中期歯周病のケース
通院回数は4~8回程度が目安で、費用は総額で総額で13000円〜17000円ほどかかってきますが、歯ぐきの炎症状態などによって回数や費用に個人差があります。
治療内容は基本的に初期の歯周病と同じ内容です。
「なんでこんなに回数がかかるの?」と、ときどき質問を受けることがありますが、
・一気に歯石を取ると強い知覚過敏や急激な歯肉退縮を引き起こすリスクがある
・機械的清掃で手早く歯石を取ることもあれば、深いポケットにこびりついた歯石は手作業で地道に取ることもある。
要するに長い時間をかけて沈着をした歯石除去にはそれなりの時間がかかる。
などの理由があるからです。
③重度歯周病のケース
結論を言うと、重度歯周病の通院回数や費用の予測を立てるのは非常に困難です。
また、外科手術(フラップ手術)の有無でも異なります。
フラップ手術とは、歯肉を切開することで病巣となっている歯石や感染している組織を取り除く方法です。
重度になると歯周病を完治するのは厳しいので、中期くらいに病状を落ち着かせるのが狙いです。
1年間で6~12回程度の通院をしてもらうと、年間で15000円前後の費用がかかってきますので、治療費の総額は通院回数×年数分がかかるイメージです。
そこにフラップ手術をおこなう場合のみ、追加で2000円程度かかってきます。
歯周病かも?と感じたらチェックしたい「歯周病3つの進行段階」
「歯磨きをするたびに、歯ぐきから出血がある」
「歯がグラグラしていて、物が噛みにくい」
「起床時の口臭が気になる」
これらの症状があれば、歯科医師としてまず疑うのは歯周病ですが、もちろんむし歯や外傷、または全身疾患が付随して起こりうる歯の病気もあります。
しかし、2014年(平成26年)に厚生労働省がおこなった「患者調査の概況」によれば、むし歯の総患者数(=継続的に治療を受けていると推定される人のこと)は、むし歯では約185万人、歯周病に関しては約332万人とのデータがあります😅
むし歯と歯周病の患者数、両者の間にはおおよそ2倍の差があるのですから、私が最初に疑うべき疾患は歯周病、といっても差し支えないでしょう。
今回は、そんなごくありふれた歯の病気・歯周病とはどのようにして進行していくのか?という知識を得ていただき、デンタルIQを高めましょう。
歯周病進行のステージは3段階ある
以前のブログ「歯周病が発生するしくみとリスク」でも軽く触れましたが、歯周病の進行ステージは大まかに初期・中期・重度の3つに分類できます。
➀初期の歯周病
・歯周ポケット(歯と歯の間のすき間)は3~5mmあり、わずかながら顎の骨が溶け始めている
・歯ブラシをしたときに出血がある
・歯ぐきが赤く、すこしの腫れぼったさがある
・この段階では自覚症状がない患者さんがほとんどで、目に見える大きな変化はない
②中期の歯周病
・歯周ポケットは4~7mm程度あり、顎の骨が本格的に溶けだす
・初期に比べて出血や腫れが強くなる
・歯周病菌由来の口臭を感じる人もいる
・体が不調なとき、歯が浮いた感じや腫れが強くなることがある
・歯の動揺や口臭などの症状から自覚症状を感じはじめる人が出る
③重度の歯周病
・歯周ポケットは8mm以上となり、顎の骨が半分以上無くなった状態で歯が大きく揺れる
・歯ぐきから膿が出て、痛みを感じる場合がある
・食べ物がうまく噛めなくなったり、硬い食べ物を食べると歯が痛んだりすることも
なんとなく、を確かな歯科知識に変えよう
「前々から歯周病かなと思っていたのだけれど、足が重くてなかなか来られなかったんです。」こうおっしゃる患者さんは、決して少なくありません。
言わずもがな、そういった方たちが重度の歯周病になっているケースが後を絶ちません。
逆を言えば、軽い歯肉炎程度の状態でも「歯周病かもしれないので、すぐに診てほしい!」と真剣な表情で来院される患者さんもおられます。
両者の違いはなんだろう?――私なりに考えた結論は、知識の差です。
歯周病の自覚が「なんとなく」ありながらも、実際に自分が歯周病かというのは、知識に乏しいと不確かなままですし、どのような治療をされるかも見当がつかず「なんとなく」来院を控えてしまうのだろうと推測しています。
地道ながらもブログの情報発信を通して「なんとなく」を「確かな知識」に変えていき、早期発見・治療につながることを私は期待しています😀
家庭でできる歯周病予防とは
歯周病のおもな原因はプラーク(=歯垢)であり、プラークコントロールが歯周病予防の「肝」です。
家庭でおこなえる歯周病予防・対策としては、やはり「最低でも1日に1回、5分間はブラッシングすること」これに尽きます。
よく、「歯磨き粉の薬用成分で歯周病が治る」と勘違いされている患者さんがいますが、歯磨き粉はあくまで補助的な道具に過ぎません。
例えるならば、キッチンにたまったヌメリやカビを落とすには、ただ洗剤を吹きかけるだけで汚れは落ちませんよね。
やはり、ブラシやスポンジですみずみまで磨かないとキレイにはなりません。
歯にたまった垢(プラーク)も同様にお考えいただければ、分かりやすいでしょう😀
効果的なブラッシング方法のポイント
➀歯ブラシの持ち方と選び方
・ヘッド部分が奥歯まできちんと届くものを選択しましょう。
無難なのは「コンパクトヘッド」と記載されている歯ブラシを選ばれると、小回りがききやすいです。
・毛のかたさは歯ぐきを傷つけにくい「ふつう」か「やわらかめ」を選択。
・毛の材質は、ナイロン製よりしなやかで耐久性も優れており、水はけもよく衛生的な飽和ポリエステル樹脂がおすすめです。
・補助的な歯間清掃用具(歯間ブラシやフロスなど)を積極的に取り入れましょう。
歯ブラシだけで落とせる歯の汚れは6割程度ですが、フロスなどを活用すれば、8~9割まで歯の汚れが落とせるとされています。
②歯磨きをするタイミング
効果的な時間帯は、夜寝る前です。
なぜかと言うと、就寝時はだ液の分泌が減ることで、お口の細菌が非常に増殖しやすいから。
寝る前に丁寧に歯磨きをおこなうことで、あらかじめお口の細菌を減らしておけば、ばい菌たちの活動を封じ込められるというわけです。
「忙しくて1日に何回も磨ける余裕はない」という方は、夜寝る前だけでもていねいに磨くことを心がけましょう。
③歯の磨き方
・歯ブラシの毛先を歯に対して垂直にあてがい、歯と歯の間や、歯と歯ぐきの間を意識して、細やかな微振動でブラッシングする「スクラビング法」が歯周病予防に効果的。
・歯を磨く強さは、桃を磨くようなやさしい圧でおこなう。
効率的な歯磨きを習得できるよう、私たちが取り組んでいること
ここまでお伝えしましたが、「じゃあ、私に合った補助的清掃用具ってなんだろう?」といったさまざまな疑問や不安が沸いてくる方もいらっしゃるでしょう。
お口に合わせた歯ブラシをご提案したり、効率的な歯磨き法を指導したりするために、ユキデンタルオフィスでは患者さんが普段お使いの歯ブラシを持参していただき歯磨き指導をおこなっています。
実際に使用している歯ブラシを使ってアドバイスすることで「自宅に帰ったあとでも歯科医院で教わったことをスムーズに実行しやすい」と考えているからです。
歯周病と糖尿病~負の関係~
歯周病は、お口のなかだけでとどまる感染症ではない。――本日はこの事実を皆さんにお伝えします。
前回のブログ「歯周病が発生するしくみとリスク」でも歯周病の機序について簡単に説明しましたが、今回はその補足も兼ねたお話になります。
歯周病原因菌の多くは、「内毒素」とよばれる強い毒素を産み出します。
身体は内毒素をやっつけるために免疫細胞を活発に働かせ、炎症が起こった歯ぐきや歯槽骨の修復に全力を尽します。
しかし、あまりに炎症の進行度合いが強いと、今度は自らが炎症を誘発する物質(炎症性サイトカイン)を大量に出してしまいます。
わかりやすく例えると、身体が炎症を抑えようと頑張りすぎた結果、免疫機能が自滅の道を歩んでしまうのです😅
歯周病菌によって引き起こされた内毒素や炎症性サイトカインたちは、歯ぐきの血管や気道を通して全身に駆け巡っていき、肺や心臓にまで入り込んでしまうというというわけです。
こうして糖尿病をはじめとする細菌性肺炎や心内膜炎、動脈硬化といったさまざまな全身疾患に対して悪影響を及ぼしていきます。
歯周病が糖尿病に与える影響とは
糖尿病の合併症としては神経障害や網膜症などがありますが、そのなかで第6の合併症として歯周病が挙げられています。
歯周病と糖尿病は「どちらかの病気が悪くなれば、もう一方の病気も悪化しやすい」といった、まるでお互いの足を引っ張るかのようなマイナスの相互関係があります。
糖尿病が歯周病を悪化させてしまう要因
糖尿病の症状であるお口の乾燥感は、歯周病菌をはじめとする細菌を増やしやすく、免疫機能・組織修復力の低下は、体の抵抗力を弱くして歯周病に感染するリスクを高めます。
また、糖尿病の方のだ液のなかは糖が多いですが、歯周病菌は糖分を好むので歯周病が悪化しやすいです。
歯周病が糖尿病を悪化させてしまう要因
歯ぐきに炎症が起きると、体内の免疫機能が歯周病菌をやっつけるために、インスンの働きを弱めるような物質を産み出してしまいます。
このインスリン阻害物質が、血糖コントロールを困難にさせたり、血糖値を下がりにくくさせたりしているのです。
これら歯周病と糖尿病の相互関係から考えてみると、歯周病菌を減らすことができれば、血糖値のコントールにもつながります。
実際に歯周病患者に抗生物質投与をふくめた歯周病治療をおこなったところ、糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cが改善されたという報告例も多数あります。
したがって、糖尿病の患者さんは糖尿病管理の一環として、歯周病を治療すると同時に予防に努めることが大切です。
ユキデンタルオフィスの予防歯科では、歯周病・虫歯の有無はもちろん「かみ合わせに問題はないか?」「粘膜や舌の状態は?」など、お口をトータルに見ることで歯周病のリスクをできる限り減らせるよう努めています😀
歯周病が発生するしくみとリスク
「むし歯と歯周病」この2つの疾患によって、実に7割近くの方が貴重な歯を失っていますが、この敵が非常にやっかいなのです。
■「無自覚・無関心」これが歯周病のリスク
なぜ、私がやっかいだと考えているか?それは患者さんが歯周病に対して関心が薄いからです。患者さんによく「むし歯はないですか?」とは聞かれるのですが「歯周病になっていませんか?」と聞かれることはほとんどないです。
久しぶりに来た患者さんの歯周病が予想以上に進行していた、しかし患者さん自身は「なんの症状もなかった」と仰っている……こんな出来事は決して少なくありません。
歯周病はごくありふれた感染症であり、ギネスブックにも「世界で最も罹患している人が多い感染症」と認定されているほどで、成人した方の8割が歯周病または予備軍ともいわれています。
■歯周病になるしくみとは
歯周病菌が歯と歯の間のすき間(歯周ポケット)に入り込むことで、私たちの身体は歯周病菌を「異物」とみなして、菌をやっつけようと戦います。
しかし、あまりに菌が多いと今度は身体自身が菌から逃れるために、顎の骨(歯槽骨)を溶かす細胞を働かせてしまいます。
■歯周病は初期段階ほど治療の効果がある
このなかで歯周病治療の成果をあげやすいのは、歯周ポケットも浅く、歯の骨もグラグラしていない「初期の歯周病」です。
分かりやすく歯周病を家づくりに例えてみますと、基礎(顎の骨)があまりない状態で無理やり家(歯)を建てたところで、建物は安定しませんよね。
いくらきれいなかぶせ物や入れ歯を入れても、それらを支えている土台である顎の骨がすくない状態だと、台無しになってしまう恐れがあります。
また、やわらかい汚れの歯垢であれば歯磨きで落とすことができるのですが、歯石は歯磨きでは落とせません。
歯石は大変粗い構造になっており、歯周病菌や虫歯菌が非常に吸着しやすく、歯石がついてしまった歯はいわば「細菌のすみか」になっています。
これらの理由から、当院は3~6カ月ごとの定期検診と歯石除去をおすすめしています🙏
「ユキデンタルオフィスで行う予防処置」
治療を終えた方へお伝えしたこと
「治療は終ったのだから、もう歯医者には通わなくていいですよね?」――お口の中が虫歯だらけだった患者さんほど、こう言われるのを耳にします😅
お口の状態が悪いほど通院回数は長くなってしまいますので、長期に渡って通院してこられた患者さんが、このような心境になるのは当然でしょう。
しかし、歯科医師として皆さんにお伝えしておきたいことがあります🙏
あくまで治療とは「治した」に過ぎず、再び虫歯や歯周病が再発してしまうという「リスク」は抱えたままなのです。
では、どのようにして、再発リスクを減らしていけばよいのでしょうか?
■予防歯科が必要な理由
ユキデンタルオフィスのHPにも記載していますが、当院では治療を終えた患者さんには予防歯科を推奨しています。
関連記事 http://www.yuki-dental-office.com/preventive/
「むし歯・歯周病・粘膜疾患の予防」
当院が考える予防歯科の目的とは歯を通して生活の質を上げることです。
「歯で生活の質が変わるなんて、大げさじゃないの?」――こんな声が聞こえてきそうですが、私自身は歯から口福(=幸福)がはじまると確信しています。
歯周病菌は、歯を支える骨である歯槽骨まで溶かしてしまうほど強力な毒を持っていて、糖尿病や心疾患をはじめとする全身的な疾患とマイナスの相互作用を起こすという話はご存じの方も多いでしょう。
しかし、重度の歯周病などが原因でやむを得ず歯を抜かないといけなくなくなり「噛む機能」が落ち込んだ歯は、脳の学習機能や運動機能にとっても非常に大きな影響を受けるのです。
■患者さんにできるリスクヘッジは定期検診を受けること
たとえば、脳の記憶力に深く関わりを持つアセチルコリンという物質は、噛むことで分泌があがります。(つまり、噛める歯が多いほど脳機能もあがりやすいといえます。)
ほかにもラットの奥歯を抜いて、どのように脳機能が変化するかを調べた研究があります。
その結果、ラットの脳の情報伝達機能は減ってしまい、アルツハイマーによく似た症状を示しました。
また、残っている歯の数が少ない方は、歯の多い人に比べて片足立ち時間や握力テストが劣ったという結果もでています。
このように、歯周病菌は全身疾患と関連するだけにとどまらず、運動や勉強といった日常生活にも深く影響をおよぼしていることがお分かりいただけるでしょう。
しかし、むやみに恐れる必要はありません。
定期検診を受け、結果にもとづく予防処置をおこない、疾患の早期発見・治療に努めれば、これらのリスクを大幅に減らせるのです。
※虫歯と歯周病のリスクについては、もう少し詳しい解説をしたいので、後日お話しいたします。