歯の神経治療が求められる理由と目的
歯の神経治療(根管治療)は、歯の内部にある神経(歯髄)が炎症や感染を起こした際に行われる治療です。
虫歯の進行や外傷によって歯髄がダメージを受けると、強い痛みを伴うだけでなく、放置すれば細菌が根の先にまで広がり、膿が溜まる可能性があります。この状態を放置すると、最悪の場合、抜歯が避けられなくなります。
根管治療の目的は、こうした感染を取り除き、歯の機能を保つことにあります。神経を除去した後も、適切な処置を行うことで歯を残し、しっかりと噛む力を維持することが可能です。
歯の神経治療のステップと所要期間
歯を失うと噛み合わせが乱れ、他の歯にも悪影響を及ぼします。そのため、可能な限り歯を残すことが重要です。ここでは、根管治療の流れや必要な期間について解説します。
治療の一般的な流れ
1.診断と検査:レントゲンや視診により、神経の状態を確認します
2.局所麻酔:治療中の痛みを防ぐため、必要に応じて麻酔を施します
3.感染した神経の除去(抜髄): 根管内の細菌や感染した神経組織を取り除きます
4.根管の清掃・消毒:細菌の再感染を防ぐため、根管内を徹底的に洗浄・消毒します
5.根管充填:空洞になった根管に薬剤を詰め、密閉処置を行います
6.仮封・被せ物の装着: 根管治療が完了した後、最終的な被せ物を装着して歯を補強します
治療回数・期間の目安
根管治療は一般的に 3〜5回程度の通院を要します。炎症が強い場合や根管の形状が複雑な場合は、さらに回数がかかることもあります。
その後、詰め物や被せ物をするため、 1〜2ヶ月程度 の治療期間が必要となるケースもあります。
治療費用(保険治療の場合)
歯の神経治療にかかる費用は 2,000〜5,000円程度(保険適用)ですが、使用する薬剤や治療内容によって変動します。
また、治療後に必要な 被せ物の種類などによっても、総額が異なるため、事前に歯科医師と相談しておくと安心でしょう。
なぜ歯の神経治療は複数回に分けられるのか?その理由
「歯の治療は1回で終わらせたい」と思う方も多いですが、根管治療が複数回に及ぶのには理由があります。
細菌感染の徹底除去が必要
1回の消毒では完全に菌を取り除けない場合があり、数回にわたる清掃・消毒が必要になります。
根管の形状が複雑
歯の根は人によって異なり、細かく枝分かれしていたり、曲がっていたりするため、慎重な処置が求められます。
炎症を落ち着かせるため
強い炎症がある場合、時間をかけて症状が改善するのを待ちながら治療を進めます。
根管の密閉処理を確実にするため
充填が不完全だと再感染のリスクが高まるため、慎重に処置を行う必要があります。
まとめ
途中で治療を中断すると、細菌が再び繁殖し、最悪の場合抜歯が必要になることもあります。治療完了までしっかり通院することが、歯を長持ちさせるためのカギとなります。
「痛いから放置する」「面倒だから途中でやめる」といったことがないよう、最後までしっかり治療を受けましょう。