こんにちは。歯科医師の小場です。
口腔癌(こうくうがん)の治療内容は、がんができた部位や進行度合いによって治療手段はさまざまですが、概ね外科的療法・放射線療法・化学療法の3つのパターンに分けられます。
上記3つの治療法を、単独または組み合わせながら治療計画が立てられます。また、お口のがんに関しては、食べ物を噛む・飲み込むといった動作や声を出すといった日常生活に欠かせない機能はもちろん、見た目の審美性にも十分な配慮を行った治療立案が重要です。
今回は口腔癌における治療内容から、気になる費用、治療期間までを大まかに解説します。
口腔癌の治療内容は3つある
①外科的療法
口腔癌の主な治療法は、外科的な方法(手術)を用いてがんを取り除きます。
手術と一言でいってもさまざまです。例えばがん部分と正常組織を一部切除する局所切除術から、口腔癌が首のリンパ節まで転移した場合に行われる頸部郭清術があります。また手術などで欠損したお口を修復するための組織移植(再建手術)を行うことも。
②放射線治療
放射線治療とは、高いエネルギーの放射線を照射することによってがん細胞を破壊させる治療です。
口腔癌における放射線治療はメインで行われることはほとんどありません。どちらかと言えば手術の補助的な意味合いで放射線治療を扱うことが多いです。
③化学療法
抗がん剤を点滴または経口的に服用することで、がん細胞を破壊していく方法を化学療法と呼びます。
手術後にがんが再発しないよう予防目的で行ったり、がんが広く転移し手術ができなかったりする場合などにおいて扱われることがあります。
口腔癌の治療費について
口腔癌の部位や進行具合にもよりますが、口腔癌の治療費は概ね14万~30万円程度が平均的な治療費です。(健康保険適用・3割負担の場合)
基本的に口腔癌については「高額療養費制度」が利用できますので、1カ月あたりの治療費には上限額があります。
高額療養費制度とは、所得に応じて医療費が1カ月で一定上限額を超えた場合、その超えた額を支給してくれる国の制度のこと。
この計算式について、例えば会社員の平均的な年収・約370~約770万円(69歳以下の方)は「80,100円+(医療費-267,000)×1% 」です。
具体例を挙げると、年収500万円くらいの会社員が40万円の治療を受けた場合の1カ月あたりの自己負担医療費は81,430円です。
参考:https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
「高額療養費制度を利用される皆さまへ・厚生労働省保険局」
口腔癌の治療期間について
口腔癌の治療期間については、大きく「治療期」と「治療後の経過観察期」の2つに分けることができます。
治療期については、例えば口腔癌で手術・入院となると概ね2~3週程度入院することになります。また放射線治療の場合は、外来通院もケースによっては可能ですが約1カ月半ほどかかることも。
治療後の経過観察期間は治療終了後、少なくとも約5年間は1~4カ月単位で再発がないか、造影CTやMRI・超音波などを使い慎重な経過観察を行っていきます。