「私のお口のなかにある歯周病菌は、子どもに感染するのでしょうか」――まだ小さなお子さんがいる保護者の方からこういった質問をよく受けます。
結論を言いますと、歯周病菌は細菌の一種ですので、世間を賑わせている新型コロナウイルス菌と同様に人から人へ感染します。
生まれたての赤ちゃんに歯周病菌はいない
歯周病菌やむし歯菌は、親子間や夫婦間など家族関係から感染する場合が多いです。
つまりリスクファクターは「日常的に濃厚接触をせざるを得ない方」となり得ます。
考えてみると、生まれたての赤ちゃんに歯周病菌やむし歯菌はいませんよね。
歯周病菌やむし菌は、だ液のなかに潜んでいるので、たとえば「キスをする」「近い距離で話しかける」「食器を共用する」などといった行為や習慣から感染すると考えられています。
何歳ごろに歯周病菌をうつされるのか
では、歯周病菌は一体いつ頃のタイミングでうつされているのでしょうか。
小学生くらい?それとも成人してから?
実はさらに前の段階、なんと「よちよち歩き」のころから歯周病菌やむし歯菌をうつされている可能性があります。
(「感染の窓」といって、1歳7カ月前後に感染のピークを迎える時期と言われています。)
また、1歳を過ぎたころと言えば、多くのお子さんが離乳食の時期が終わる時期でもあり、幼児食へ移行する時期です。
このころには食べられるメニューも増えていますし、保護者のなかには大人と同じお菓子・味付けで食べさせている方もいらっしゃるようです。
こういったさまざまな生活背景があり、結果的にお子さんがむし歯になってしまうわけですね。
「うつされる」と「感染する」は違う
このような話を聞くと「スキンシップは控えるべきなのか」と思われるかもしれません。
しかし、小さなお子さんへのスキンシップは親子間の愛着関係と非常に深い結びつきがありますので「木を見て森を見ず」の状態になりかねません。
わかっていただきたいのが、歯周病菌がお口のなかに入ってきたとしても、歯周病菌単体であれば悪さを起こさないということ。
歯周病が爆発的に増殖すること(=感染)が問題なのです。
つまり、歯周病菌がお口に入ってきたとしても、それ自体を恐れる必要はなく、増殖できる環境でなければ歯周病は発症しません。
>>「家庭でできる歯周病予防とは」
お子さんのいるご家庭へ向けたアドバイスとしては「食器の共有などは止めた方がベターですが、スキンシップ自体は減らさないでも大丈夫」とお伝えしたうえで「家族すべての方にむし歯菌・歯周病菌を減らす努力を心がけていただくことも忘れないように」と、付け加えています。
歯周病菌を減らす具体的な対策は
・3カ月ごとのメンテナンスを受けて歯のクリーニングを受けていただく
「予防歯科(むし歯・歯周病・粘膜疾患の予防)」
・正しい歯磨き方法で毎日ブラッシングする
・キシリトール配合のガムなどを毎日召し上がっていただく
これらの心がけで歯周病菌・むし歯菌を減らす対策をしていれば、さほど神経質にならなくても心配はいりません😀