「歯磨きをするたびに、歯ぐきから出血がある」
「歯がグラグラしていて、物が噛みにくい」
「起床時の口臭が気になる」
これらの症状があれば、歯科医師としてまず疑うのは歯周病ですが、もちろんむし歯や外傷、または全身疾患が付随して起こりうる歯の病気もあります。
しかし、2014年(平成26年)に厚生労働省がおこなった「患者調査の概況」によれば、むし歯の総患者数(=継続的に治療を受けていると推定される人のこと)は、むし歯では約185万人、歯周病に関しては約332万人とのデータがあります😅
むし歯と歯周病の患者数、両者の間にはおおよそ2倍の差があるのですから、私が最初に疑うべき疾患は歯周病、といっても差し支えないでしょう。
今回は、そんなごくありふれた歯の病気・歯周病とはどのようにして進行していくのか?という知識を得ていただき、デンタルIQを高めましょう。
歯周病進行のステージは3段階ある
以前のブログ「歯周病が発生するしくみとリスク」でも軽く触れましたが、歯周病の進行ステージは大まかに初期・中期・重度の3つに分類できます。
➀初期の歯周病
・歯周ポケット(歯と歯の間のすき間)は3~5mmあり、わずかながら顎の骨が溶け始めている
・歯ブラシをしたときに出血がある
・歯ぐきが赤く、すこしの腫れぼったさがある
・この段階では自覚症状がない患者さんがほとんどで、目に見える大きな変化はない
②中期の歯周病
・歯周ポケットは4~7mm程度あり、顎の骨が本格的に溶けだす
・初期に比べて出血や腫れが強くなる
・歯周病菌由来の口臭を感じる人もいる
・体が不調なとき、歯が浮いた感じや腫れが強くなることがある
・歯の動揺や口臭などの症状から自覚症状を感じはじめる人が出る
③重度の歯周病
・歯周ポケットは8mm以上となり、顎の骨が半分以上無くなった状態で歯が大きく揺れる
・歯ぐきから膿が出て、痛みを感じる場合がある
・食べ物がうまく噛めなくなったり、硬い食べ物を食べると歯が痛んだりすることも
なんとなく、を確かな歯科知識に変えよう
「前々から歯周病かなと思っていたのだけれど、足が重くてなかなか来られなかったんです。」こうおっしゃる患者さんは、決して少なくありません。
言わずもがな、そういった方たちが重度の歯周病になっているケースが後を絶ちません。
逆を言えば、軽い歯肉炎程度の状態でも「歯周病かもしれないので、すぐに診てほしい!」と真剣な表情で来院される患者さんもおられます。
両者の違いはなんだろう?――私なりに考えた結論は、知識の差です。
歯周病の自覚が「なんとなく」ありながらも、実際に自分が歯周病かというのは、知識に乏しいと不確かなままですし、どのような治療をされるかも見当がつかず「なんとなく」来院を控えてしまうのだろうと推測しています。
地道ながらもブログの情報発信を通して「なんとなく」を「確かな知識」に変えていき、早期発見・治療につながることを私は期待しています😀