歯周病は、お口のなかだけでとどまる感染症ではない。――本日はこの事実を皆さんにお伝えします。
前回のブログ「歯周病が発生するしくみとリスク」でも歯周病の機序について簡単に説明しましたが、今回はその補足も兼ねたお話になります。
歯周病原因菌の多くは、「内毒素」とよばれる強い毒素を産み出します。
身体は内毒素をやっつけるために免疫細胞を活発に働かせ、炎症が起こった歯ぐきや歯槽骨の修復に全力を尽します。
しかし、あまりに炎症の進行度合いが強いと、今度は自らが炎症を誘発する物質(炎症性サイトカイン)を大量に出してしまいます。
わかりやすく例えると、身体が炎症を抑えようと頑張りすぎた結果、免疫機能が自滅の道を歩んでしまうのです😅
歯周病菌によって引き起こされた内毒素や炎症性サイトカインたちは、歯ぐきの血管や気道を通して全身に駆け巡っていき、肺や心臓にまで入り込んでしまうというというわけです。
こうして糖尿病をはじめとする細菌性肺炎や心内膜炎、動脈硬化といったさまざまな全身疾患に対して悪影響を及ぼしていきます。
歯周病が糖尿病に与える影響とは
糖尿病の合併症としては神経障害や網膜症などがありますが、そのなかで第6の合併症として歯周病が挙げられています。
歯周病と糖尿病は「どちらかの病気が悪くなれば、もう一方の病気も悪化しやすい」といった、まるでお互いの足を引っ張るかのようなマイナスの相互関係があります。
糖尿病が歯周病を悪化させてしまう要因
糖尿病の症状であるお口の乾燥感は、歯周病菌をはじめとする細菌を増やしやすく、免疫機能・組織修復力の低下は、体の抵抗力を弱くして歯周病に感染するリスクを高めます。
また、糖尿病の方のだ液のなかは糖が多いですが、歯周病菌は糖分を好むので歯周病が悪化しやすいです。
歯周病が糖尿病を悪化させてしまう要因
歯ぐきに炎症が起きると、体内の免疫機能が歯周病菌をやっつけるために、インスンの働きを弱めるような物質を産み出してしまいます。
このインスリン阻害物質が、血糖コントロールを困難にさせたり、血糖値を下がりにくくさせたりしているのです。
これら歯周病と糖尿病の相互関係から考えてみると、歯周病菌を減らすことができれば、血糖値のコントールにもつながります。
実際に歯周病患者に抗生物質投与をふくめた歯周病治療をおこなったところ、糖尿病の指標であるヘモグロビンA1cが改善されたという報告例も多数あります。
したがって、糖尿病の患者さんは糖尿病管理の一環として、歯周病を治療すると同時に予防に努めることが大切です。
ユキデンタルオフィスの予防歯科では、歯周病・虫歯の有無はもちろん「かみ合わせに問題はないか?」「粘膜や舌の状態は?」など、お口をトータルに見ることで歯周病のリスクをできる限り減らせるよう努めています😀