歯をぶつけた後、しばらく経ってから黒っぽく変色することがあります。特にお子さんの外傷の多くは、親が見ていないところでいつの間にか歯をぶつけており、時間が経過してから歯が変色してきたのを見て「歯をぶつけたの?」と後から気付く親も少なくありません。
変色した歯に関して、特に痛みが出ていなければそのまま自然に放っておいても大丈夫なのか? また、時が経てば自然に歯の変色がなくなることはあるのか? このような疑問や歯が変色した時の治療方法などをお伝えしていきます。
変色した歯は「時間の経過」で対処法が異なる
歯をぶつけた後に歯の色が変色していくのは、歯の内部の軟組織である「歯髄」が何らかの異常を起こしたことが原因です。
歯の変色については、ぶつけた直後と2~3カ月経ってから起こる変色では意味づけが異なりますので、詳しく解説していきます。
歯をぶつけた直後の変色
歯をぶつけた直後に、歯の内部が淡い赤色のような色に変色することがあります。
これは歯の中(歯髄)が内出血や充血を起こした状態であると予測されます。多くの場合、自然に消えていきます。
時間が経ってからの歯の変色
歯をぶつけて、ある程度時間が経った後に歯が灰色っぽく黒ずんだ色味に変色することがあります。これは歯の根っこがダメージを受けて血液の循環が停止してしまい、歯の神経が死んでいる可能性があります。
変色以外にも、歯の根っこ周辺の歯ぐきにおできのようなものができている、または膿が出るなどの症状が出る場合もあります。この場合は歯の根っこに病巣を抱えている可能性も考えられますので、歯の維持が困難になることも。
ぶつけた歯が変色した場合の治療法
歯が変色した場合、歯の神経が死んでいる可能性があることを先ほどお伝えしました。
変色した歯の治療方針は大人と子どもで違ってきますので、それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
大人の歯が変色した場合
歯の神経が死んでいると診断されたら、多くの場合は抜髄という歯の神経を除去する治療を行います。歯の変色の原因は歯髄にありますので、歯の神経をきれいに取ったうえでかぶせ物やウォーキングブリーチ(専用の薬剤で歯を白くする)を行い、審美性を取り戻していきます。
子どもの歯が変色した場合
子どもの歯が変色した場合、その乳歯とともにその下に埋まっている永久歯への影響を考えた柔軟な対処が必要です。ここが大人の治療とは大きく異なる点です。
乳歯から永久歯に入れ替わる時期、具体的には幼児~小学生頃のお子さんに関しては、歯の神経が死んでいてもすぐに根の治療(感染根管治療)を行わないこともあります。レントゲン写真を取り、根っこの周辺組織(歯根膜や歯槽骨)に炎症症状が確認された際に根管治療を検討する場合もあります。
症状が強い場合、歯の下に埋まっている大人の歯へ悪影響を与えないために、乳歯を抜去するケースもあります。