舌痛症になる原因は、いまだに分かっていない部分が多く、治療方法も一律ではありません。しかし、舌痛症の多くは症状を軽くする治療法、つまり「対症療法」で様子を見ていくケースが多いです。
今回は舌痛症と診断されたとき、どのような治療方法で舌痛症の症状を軽快させるのかについて触れていきます。
亜鉛補充療法
舌がピリピリする、痛みがある、しみるなど慢性的な舌痛症の症状のある方の一定数は、亜鉛欠乏症であるケースが多いです。
亜鉛不足は味覚を感じにくくなったり、皮膚や粘膜の傷の治りが悪くなったりするなどを引き起こしやすいです。これらから舌痛症の治療では、医師や歯科医師の指導のもとで多めに亜鉛を摂取していきます。
多くの患者さんは1~3カ月程度で症状が軽快するケースが多いです。
抗うつ薬
舌痛症の方のなかには心理的なストレスを抱えていることがあります。神経症やうつなど考えられる患者さんに有効な治療法は、抗うつ薬や抗不安薬を用いた薬物療法です。
「え?舌が痛いのにうつの薬?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、抗うつ薬には抗うつ作用とはまた違った働きで鎮痛作用も持ち合わせており、痛みを和らげる効果も期待できるんですよ。
抗うつ薬で治療を進めた方がよい場合、一般的に歯科領域ではうつに対する投薬を十分に行うことができません。効率的な治療を進めるためには精神科、心療内科の受診をおすすめする場合もあります。
漢方薬
東洋医学の視点から舌痛症を捉えると、漢方独自の概念である「熱」が関与していると考えます。漢方薬には唾液の分泌を促す作用や心因的な要因を取り除く作用が期待できます。
舌痛症の原因が熱の場合は、熱を鎮める漢方薬を服用してもらうことで痛みが治まるケースも。
漢方薬による舌痛症の治療は、ごく一部の歯医者でしか行われておらず、一般的には心療内科や内科領域で治療される場合が多いです。
認知行動療法
舌痛症が心因的な原因が絡んでいる場合、マインドフルネス法などでアプローチしていき、症状の改善を促します。
マインドフルネス法とは、第三者的に自分の行動を見つめてもらう練習のことで、リラックス方法の学習、呼吸法や自己観察などで痛みのコントロールを目指します。
また、認知行動療法のなかには集団指導をおこなう場合もあります。患者さん同士のコミュニケーションの場を設けることで互助的な効果を期待できるからです。
舌痛症は原因が複雑、歯科領域外で対応することも
舌痛症はお伝えした通り、口内環境や身体のトラブルに起因しているケースのほかにも心因的な要因も絡んでいることが多いです。
一見するとお口のなかに何も見られなくても、かみ合わせの問題や被せ物など、結局のところはお口のなかに原因が潜んでいることも十分にあり得ます。まずは当院へお気軽にご相談ください。