骨粗鬆症の抜歯に伴うリスクや外科処置のポイントを解説
骨粗鬆症の治療薬を服用している方が抜歯を受ける際には、顎の骨に負担がかかるリスクもあるため、慎重な対応が求められます。この記事では、骨粗鬆症治療中の方が安心して治療を受けられるよう、抜歯を含めた注意点をご紹介します。
骨粗鬆症治療と抜歯リスクの関係性
骨粗鬆症は骨密度が低下して骨がもろくなり、骨折のリスクが高まる病気です。日本では1,300万人以上がこの病気を抱えているといわれています。
骨粗鬆症の治療には、骨が壊れにくくするための薬が使われていますが、これには少し注意が必要です。具体的には、ビスホスホネート製剤やデノスマブといった薬があり、これらは骨を強く保つ作用がある一方で、副作用として顎の骨が壊れてしまうリスクがあるのです。
この顎の骨の問題は「薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)」と呼ばれ、顎の骨が壊死する状態を引き起こすリスクがあります。したがって、これらの薬剤を使用している患者さんが抜歯やインプラントなどお口の外科的処置を行う際には、通常のケースに比べてより慎重な対応が求められます。
骨粗鬆症患者さんのための抜歯前後の注意点
骨粗鬆症治療薬を服用している場合、抜歯の前後で気をつけるべきことがいくつかあります。以下に、主な注意点をまとめました。
抜歯前
まず、骨粗鬆症治療薬を服用している方が抜歯など外科処置を行う際には、必ず歯科医師にその服用状況を伝えることが大切です。特に、内服薬や注射薬の種類によっては、顎骨壊死(MRONJ)のリスクが生じることがあります。
しかし、近年の研究により、骨粗鬆症治療薬の継続を前提に抜歯を行うことが推奨されるケースも増えてきていますので、個々の症例に応じた判断が求められます。自己判断で薬を中断せず、歯科医師や主治医と相談の上、必要に応じて最適な方法を決定していきましょう。
また、お口の中の感染源を減らすため、歯周病治療なども予防の一環として非常に重要です。
抜歯時
抜歯時には、できるだけ負担の少ない方法を選び、歯科医師が細心の注意を払いながら処置を行います。
場合によっては、抗菌薬を予防的に使用して感染リスクを減らすことが推奨されます。また、骨粗鬆症の程度や処置の難易度によっては、設備の整った口腔外科での対応が望ましいケースもあります。
抜歯後
抜歯後は、感染予防のために丁寧な口腔ケアを続けることが不可欠です。抜歯窩がしっかり治癒するまでの間、必要に応じて抗菌薬が処方されることもありますので、歯科医師の指導に従ってケアを行いましょう。
また、抜歯後の定期的な経過観察も欠かせません。痛みや腫れが続く、異常を感じる場合は、速やかに歯科医院で診察を受けるようにしてください。
まとめ
骨粗鬆症患者さんが安全に抜歯を受け、健康な口腔環境を維持するためには、リスクの理解と適切なケアが欠かせません。
抜歯や口腔手術に伴うリスクが懸念される場合でも、歯科医師との連携を深め、健康を守るための対策を講じることが重要です。
骨粗鬆症治療を受けている方が安心して歯科治療を受けられるよう、歯科医師の専門的なサポートを活用し、健康な日常生活を目指しましょう。
治療方法を解説! お口の中の扁平苔癬
口腔扁平苔癬は、お口のなかに発生する扁平苔癬の一種です。お口のなかの粘膜に、幅1〜2mmぐらいのレースや網状の模様が見られます。この網状模様の内側には、白い線状の部分があり、その周りは赤くなったりびらんが見られたりすることがあります。時に痛みや不快感を伴うことも。
この疾患は扁平苔癬のなかでも珍しい部類に属し、罹患率は、0.02%〜0.22%と報告されています。正確な原因は不明ですが、免疫系の問題が関与していると考えられています。
口内扁平苔癬は早期に治療しないと悪化する可能性があるため、適切な対処法と治療が必要です。
口腔扁平苔癬の一般的な治療方法
口腔洗浄剤の使用
補助的な治療になりますが、一般的な扁平苔癬の治療となるのが「うがい」です。
うがい薬には、アズノールやネオステリングリーン、イソジンが使われます。
1日7回程度、2~3時間おきに、ぶくぶく・ガラガラとお口のなかにうがい薬をまんべんなく行きわたらせて長くうがいを行い、お口のなかの清潔を保つことで症状を軽くします。
ステロイド軟膏の塗布
炎症を和らげ、かゆみや腫れを緩和するために用いられます。
しかし、ステロイド軟膏の長期間の使用は副作用として口腔カンジダ症などの感染症を合併させたり、傷の治りを遅くしたりするリスクを引き起こすことがあるため、医師の指示に従って使用する必要があります。
レーザー治療
レーザーを使用して患部の組織を加熱、蒸散することで、症状の改善が見込まれます。
痛みの軽減などである程度の効果が見込まれるものの、再発する可能性も否定できず、口腔扁平苔癬が悪化したり、症状も悪化するリスクがあります。
よって、個々の症状や健康状態に応じて治療法を選択します。
かぶせ物の再治療
口内扁平苔癬の原因として、金属製のかぶせ物が影響している可能性が考えられます。特に、アマルガム合金(水銀を使用した銀の詰め物)による影響が大きいとされています。
したがって、金属アレルギーと診断された方や前述の治療方法を試したにもかかわらず症状が改善しない場合、銀歯をセラミックやプラスチックの詰め物・かぶせ物に再治療するケースもあります。
まとめ
口内扁平苔癬は、口腔内に発生する稀な扁平苔癬の一種です。早期の治療と適切なケアが症状の軽減や改善につながります。
口腔洗浄剤の使用やステロイド軟膏の塗布、レーザー治療などが一般的な治療法として利用されます。
不安がある方は、速やかに歯科医師に相談して適切なアドバイスを受けるようにしましょう。
扁平苔癬はセルフケアが肝! 自分でできるケア4選
扁平苔癬の原因は完全に解明されておらず、確実な治療法は見つかっていません。そのため、現時点では自宅での適切なケアが重要です。
また、扁平苔癬の治療はしばしば長期間を要することがあります。したがって、かかりつけの歯科医師や医師と相談しながら、焦らずじっくりセルフケアに取り組みながら通院することが大切です。
以下は、自宅でもできるお口のセルフケアの選択肢を4つ、ご紹介していきます。
口腔衛生の維持
お口の衛生を保つことは、扁平苔癬の予防や症状緩和に役立ちます。
1日3回・食後の歯磨きと歯間ブラッシングなど補助的清掃用具も使用して、お口のなかの細菌の繁殖を抑えることが重要です。
歯科医院で処方されるうがい薬も、指示通りこまめに使用する必要があります。うがい薬は1日7回・2~3時間おきに、こまめにうがいを行います。
歯磨きの方法を変えてみる
粘膜に刺激を与えないよう、香料や研磨剤などはできるだけ避けたマイルド処方の歯磨き粉に切り替えたり、やわらかめの歯ブラシを選んだりすることで症状を減らすことができます。
また、歯を磨く回数を増やし、磨く時間を長めに設定するとより効果的です。
刺激物を避ける
タバコや過度の飲酒は控え、お口のなかには刺激を与えないように心掛けましょう。
お酒に関しては休肝日を作ったり、ノンアルコール飲料を取り入れたりしてみましょう。喫煙に関しては、タバコの代わりにガムを噛んだりすることで口寂しさを軽減できます。
これら代替品を上手に取り入れて、工夫に努めてみましょう。
バランスの取れた食事
扁平苔癬は体の免疫系に原因があると考えられています。よって、免疫力をサポートするために、バランスの取れた食事を摂ることが重要です。ビタミンやミネラルを豊富に含む食品を意識的に取り入れましょう。
まとめ
扁平苔癬は原因が解明されていないため、確実な治療法はまだありません。自宅での適切なケアが大切であり、歯科医師や医師との相談を重ねながら焦らずセルフケアに取り組むことが重要です。
口腔衛生の維持や刺激物を回避する、そしてバランスの取れた食事に気を配ることで、症状の緩和に役立つことが期待されます。
自己処置に不安がある場合や症状が悪化する場合は、必ず歯科医師と相談しましょう。
親知らずの予防法|痛みや腫れを防ぐためのケア方法3選
親知らずの手入れのお手入れって、なかなか難しいですよね。
親知らずは奥歯に生えているため、普通の歯と比べて磨きにくいと感じる人が多いです。 その結果、時々痛みや腫れがあることも。これらの原因の1つは、きちんと歯磨きができていないことにあります。
今回は親知らずの痛みや腫れを予防する3つのケア方法をご紹介していきます。
親知らずが磨きにくい理由
なぜ親知らずは磨きにくいのでしょうか?その理由は次の2つです。
・一番奥にある歯だから
・普通の生え方をしていないことが多い
具体的に解説しましょう。
まず、親知らずは一番奥にある歯なので、自分自身で歯を確認することが困難です。そのため、歯ブラシが当てづらいです。
次に、親知らずは真っすぐ生えてこない場合が多いです。親知らずのほとんどは斜めに生えてきたり横向きに生えたり、また、歯ぐきに隠れているケースもあります。そのため、歯ブラシでしっかりと当てながら磨くことが難しいのです。
痛みや腫れを予防できる親知らずのケア方法
では、親知らずの痛みや腫れを予防するために有効な方法について、以下3つをご紹介します。
親知らずの磨き方のコツを習得する
親知らずのケアでは、正しい磨き方が重要です。 まず、お口を開けるときは小さめに開けましょう。こうすることで、歯ブラシが奥まで入れやすくなります。
次に、親知らずの実際の磨き方について。歯ブラシを斜めから当てて優しく小刻みに磨きます。親知らずの両脇など全ての面をくまなく磨くようにしましょう。
親知らずに適したデンタルグッズを使う
親知らずのケアには、専用のデンタルグッズが役に立ちます。例えば以下のようなグッズがあります。
・ワンタフトブラシ
・フロス
・歯間ブラシ
・お口の小さな人用の小さめ歯ブラシ
などなど。これらのグッズを使うことは、親知らずのケアにとって効果的です。
定期健診でフォローする
親知らずのケアに関して、定期的な歯科検診は欠かせません。
プロによる定期的なクリーニングにより、親知らずの虫歯や歯周病の発症を未然に防ぎます。
また、歯科医師が親知らずの状態を定期的に確認し、必要に応じて処置や抜歯の判断を行いますので、親知らずに関する問題を早期に発見できます。これにより、適切な対策を早めに講じることができます。
まとめ
親知らずは磨きにくい場所にあるため、普段のセルフケアは慎重に行いましょう。清潔を保つことで痛みやトラブルを防ぐことができます。また、定期的な歯科検診も忘れずに受けましょう。歯科医師・歯科衛生士のアドバイスを受けながら、親知らずのケアを二人三脚で行うことが大切です。
親知らずの抜糸について知っておきたいこと|痛みや食事、ケア方法を解説
抜糸(ばっし)を受ける際、痛みへの不安を抱えている方も多いですよね。また、抜糸までの期間中、食事はどうするのか?歯磨きのやり方は?とお悩みの方も多いです。
この記事では、抜糸に関する疑問や不安を解消できるようにやさしく解説していきます。
抜糸はほとんど痛くない
親知らずの抜糸は、ほとんど痛みを感じない処置です。 チクチクと痛みを感じることがある場合は、歯ぐきの表面に塗る表面麻酔を行うことで痛みを軽減できます。抜歯後の痛みや不快感には個人差がありますが、抜糸は痛みがすくないのが一般的です。
抜糸はいつ頃やるの?
親知らずの抜糸は、通常、抜歯してから4〜7日後に行われます。
「そんなに早く抜糸をするの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、お口の中の傷は他の身体の部分よりも治りが早いとされています。また、糸を放置すると、食べかすなどが付着し細菌の繁殖が起こる恐れがあります。
ですので、感染のリスクを軽減するためも早めに糸を取り除くことが推奨されています。
抜糸までの食事について
抜糸直後から2~3時間は食べ物を控えるべきです。この時間帯は麻酔の効果があり、感覚が麻痺しているからです。火傷や怪我を回避するため、熱いものを食べたり口の中を噛んだりするのは注意が必要です。
抜糸後は血餅(けっぺい)と呼ばれる傷口の保護の役割があるものができます。この血餅が剥がれないように、少なくとも抜歯当日~3日間程度は食事への配慮が必要です。
具体的にこの期間は抜歯部位と反対側の歯で食事を召し上がるようにしてください。食事は雑炊やゼリーといった柔らかい食べ物がおすすめです。
抜歯から3日も経てば治癒が始まっている期間なので、ある程度何を召し上がっても大丈夫です。
しかし、抜歯から3日経っても痛みが続く場合はドライソケットなど感染症の可能性があるので、歯医者へ相談するようにしましょう。
抜糸までの歯磨きについて
抜糸までの間は細菌の繁殖を防ぐためにも、傷口は清潔を保ちます。これは傷の治りを助けることにもつながります。
負担のない範囲でしっかりと磨くようにしますが、柔らかめの歯ブラシを使ったり歯磨き粉には研磨剤の入っていないものを選択したりと、いつもよりも「労わる」を意識したケアをおすすめします。
まとめ
親知らずの抜糸はほとんど痛みを感じない処置であり、痛みを感じる場合には表面麻酔を行うことで軽減できます。抜糸は通常、抜歯後4〜7日後に行われ、感染のリスクを軽減するために早めに糸を抜くことが推奨されています。
抜糸直後から2〜3時間は食べ物を控えます。抜糸後は血餅ができるため、抜歯部位と反対の歯で食事をしましょう。雑炊やゼリーなどの柔らかい食べ物がおすすめです。 抜糸までの間は傷口を清潔にし、細菌の繁殖を防ぐために負担のない範囲で丁寧に歯磨きを行いましょう。
ガマ腫は放置していい? 自然治癒の可能性や病気やリスクを解説
舌の裏側やあごの下など、口の中で謎の膨らみがあらわれる「ガマ腫」。この病気は基本的に痛みを伴わない疾患となるので「このまま放置してもいいのかな?」「自然治癒しないのかな?」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はこのガマ腫について、自然治癒する可能性はあるのか?といったことや放置するリスクについて触れていきます。
放置したガマ腫のリスクとは
再発しやすい
ガマ腫が破裂すると、中から粘度の高い液体が出てきて腫れは一見小さくなったように思えます。しかし、時間が経つと再度同じ箇所に嚢胞ができることはよく見られます。
腫れが小さくなったと思ってもガマ腫は再発してしまう可能性が高く、油断は禁物です。
腫れが強くなる
破裂と再発を繰り返すと、どんどん腫れが強くなることも考えられます。そうなると食事をしたり話をしたりすることが不自由になってしまいます。
日常生活に支障を来たす
ガマ腫が発生すると、口の中の舌の動きが制限され、食事や会話などの日常生活に支障が生じます。通常、口内炎のような痛みはほとんどありませんが、嚢胞の大きさや位置によっては、時折鈍い痛みが生じることもあるようです。
ガマ腫を放置して自然治癒する可能性はある?
ガマ腫の大きさは、大きいものから小さいものまでさまざまです。小さい嚢胞ですとわざわざ手術や治療はせずに経過観察をすることも。経過観察の中で唾液線のつまりが自然に治って、結果的に自然治癒するケースもあります。
ガマ腫とは、唾液が漏れることで起こる病気です。唾液の漏れが増えるとガマ腫が大きくなりますが、皮膚や粘膜はいつまでも伸びるわけではありません。そこで、周りの組織に圧力をかけたり、内容液を吸収したりすることで、ガマ腫が小さくなるように身体のシステムが働きます。
ガマ腫は、この微妙なバランスによって、大きくなったり小さくなったりすることがあります。このような過程を経て、ガマ腫が自然に治癒する場合もあります。
まとめ
ガマ腫は痛みを感じにくいため、「放置しても大丈夫?」と思う人もいるかもしれませんが、ガマ腫は再発しやすく、腫れが強くなり日常生活に支障が出る可能性があります。
しかし、小さいガマ腫であれば経過観察することもあります。そのまま自然に治癒することもありますが、大きくなってしまった場合は手術が必要になることもあるので、早めに医療機関で相談することが大切です。
ガマ腫の再発を防ぐ治療法とは? 代表的な3つの方法をご紹介
ガマ腫とは、唾液腺の一種である舌下腺にできる嚢胞のことです。開窓療法や舌下腺摘出術など複数の治療法があり、それぞれ長所と短所があります。
以下でガマ腫の治療法について解説していきます。
開窓療法
まず一つ目は、開窓療法です。これは、嚢胞を切開してなかの唾液を出す治療法です。袋を破り開くことで唾液が溜まらないようにするというわけです。開窓療法はガマ腫の治療方法のなかでは最初に選択されることが多い治療法になります。局所麻酔を使用した簡単な手術ですが、再発することが多いのが欠点です。
比較的小さいガマ種であれば小手術によってガマ種本体を摘出する方法も可能です。
舌下腺摘出術
二つ目は、舌下腺摘出術です。名前の通り、唾液漏れの原因となる舌下腺を取り除く手術です。開窓療法で再発を繰り返す場合、次の選択肢として舌下腺摘出術を検討することがあります。
一度舌下腺を摘出してしまうと再発することは理論上ないものの、舌下腺を取り除くという治療になりますので、最後の手段と言えます。
また、一般的に入院が必要となり全身麻酔も伴って舌下腺の摘出を行います。舌下腺摘出術ができる病院も限られていますので、あまり行われていない治療法です。
OK-432注入法
三つ目は、OK-432注入法です。嚢胞の内容液を吸引した後に、OK-432を注入する方法です。注射後には痛みや発熱が認められますが、一般的には2日程度で消失します。
多くのケースでは2回以内の注入で消失・縮小固定しますが、数回の注入が必要な場合もあります。ですので、治癒するまでに一定期間の時間が必要となります。
また、OK-432にはペニシリンが含まれているので、ペニシリンアレルギーのある場合には使用できません。
ガマ腫、舌嚢胞、リンパ管腫では有効率が高いですが、類皮嚢胞には効果がなく、摘出手術が必要となります。
まとめ
ガマ腫治療の代表的な3つの方法をご紹介しました。開窓療法は局所麻酔で簡単に行えますが再発しやすく、舌下腺摘出術は入院や全身麻酔が必要な上、行える病院が限られています。
OK-432注入法は注射後に痛みや発熱がありますが、有効率が高く2回以内の注入で消失・縮小固定する場合が多いです。
どの治療法にもメリットデメリットが存在します。治療法を選ぶ際には、自身の症状や病状に応じて専門医の意見を参考にすることが大切と言えますね。
ガマ腫の原因は唾液線の傷つき?病気のメカニズムを解説
「ガマ腫」とは、ガマガエルが喉を膨らませたような見た目に似ていることから名付けられた病気で、唾液線の1つである舌下腺の導管損傷によって生じます。
どのような見た目かと言うと、粘膜の下に唾液が貯留してできたもので、お口の底に透明感のあるドーム状の膨らみを作るのが特徴です。
本記事では、ガマ腫の原因として考えられるメカニズムについて解説します。
ガマ腫の原因①:機械的な刺激
ガマ腫の原因についてははっきりと明らかになっていませんが、専門医の間では「このような原因が考えられるのでは?」といった意見が交わされています。
代表的な3つの要因のうち、1つ目は歯ブラシの当て方や食事の際に頬や舌を誤って噛んでしまうことで粘膜が傷つき、唾液が貯留してガマ腫に変化する可能性があることです。
機械的な刺激によって炎症が起こり、唾液の出口が閉ざされて唾液が貯留されるため、ガマ腫が発生すると考えられています。
ガマ腫の原因②:先天的要因
一方で、外的刺激で口内炎になることぐらいは誰にでも起こり得ることです。
では、ガマ腫になってしまう人とならない人の違いとはなんでしょうか?これは遺伝的なもの、つまり先天性の脆弱性があるという見解もあります。
舌下腺から唾液漏れが増加するのに対して、元に戻ろうとする力(伸ばされた粘膜や皮膚)が弱くなっており、バランスを崩し続けている状態がガマ腫につながると言えます。
そのため、ガマ腫の大きさは日によって変動し、例えば食事の前後で大きくなったり小さくなったりすることがよくあります。
ガマ腫の原因③:矯正装置
ガマ腫は、特に10〜30代の女性に多く見られる疾患です。この年齢層では、歯列矯正治療がよく行われます。
歯列矯正治療は金属ワイヤーなどを使用していることが多く、お口のなかの組織を傷つけやすい特徴があります。
また、治療期間は通常数年にわたり、固定装置が一般的であるため、矯正器具が口腔内に当たり続けることにより、慢性的な炎症が起こることがあります。このような炎症が続くと、ガマ種を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
ガマ腫とは、舌下腺の導管損傷によってできるドーム状の膨らみのことです。ガマ腫の原因には、機械的な刺激や先天的な脆弱性、矯正装置による慢性的な炎症などが考えられます。
具体的には、歯ブラシの当て方や食事中に舌や頬を誤って噛むことが原因になることが挙げられます。また、遺伝的な要因もあるため、なってしまう人とならない人がいます。
また、歯列矯正治療を受けている10〜30代の女性によくある疾患であるため、注意が必要です。
粘液嚢胞の自然治癒に期待できる?子供と大人の違いも解説
「舌の下に膨れた口内炎のようなものが治らない」「潰してもまた膨れてくる」という症状でお悩みですか?それは口内にできる粘液嚢胞の可能性があります。
今回は唇や舌に水ぶくれが何度も繰り返してしまう粘液嚢胞について、自然に治癒する可能性はあるのかをお伝えしていきます。
粘液嚢胞は基本的に自然治癒しない
結論から申し上げますと、粘液嚢胞は基本的に自然治癒しない疾患です。自然に潰れて小さくなっていくことはありますが、粘液嚢胞は再発することが多いのです。ですから、放置しておいても自然治癒することは期待できません。
粘液嚢胞は、長期的なフォローが必要な疾患であり、治療が必要です。しかしながら3mm位の比較的小さな粘液嚢胞は、まれではあるのですが自然治癒することもあります。
また、粘液嚢胞が潰れたり大きくなったり再発を繰り返すと次第に患部の表面が硬くなっていき、白っぽく変化していきます。このように再発を繰り返す場合は、手術で嚢胞を摘出することが一般的な治療法です。
粘液嚢胞が自然治癒する可能性|子供の場合
粘液嚢胞が自然治癒する可能性については、患者の年齢によっても異なります。
子供の場合、新陳代謝のサイクルが速く、傷の治りが比較的スピーディーなため、できる限り外的刺激を避けることで、おおむね3〜6か月で自然治癒することもあります。
ただし、子供の場合であっても歯科医師の経過観察を受けることが重要です。
粘液嚢胞が自然治癒する可能性を考える上で、患者さんが子供or大人で治療方針、対処法などが違ってくる場合もあります。
粘液嚢胞が自然治癒する可能性|大人の場合
一方、大人の場合は、自然治癒する可能性が低いと言えます。なぜならば、潰れたとしても粘液嚢胞の原因である悪習癖などによる唾液線のつまりが解消されないからです。小唾液腺から唾液が漏れ出している限りは、再発を繰り返すことが予想されます。
まれに唾液の漏れが自然に止まることがあると嚢胞が小さくなり、自然消失することもありますが自然治癒することはほとんど無いと考えてよいでしょう。
まとめ
粘液嚢胞は基本的に自然治癒しない疾患であり、小さな嚢胞でも再発のリスクがあることから、適切な治療や経過観察が必要です。
子供の場合は自然治癒する可能性があるため、一定期間経過観察を行うこともありますが、大人の場合は手術などの治療が必要となる場合もあります。適切な治療法を選択し、長期的なフォローを行うことが大切です。
粘液嚢胞は放置or潰しても良い? どうなるのか解説
粘液嚢胞は放置していても良いのでしょうか?結論から申し上げますと、粘液嚢胞は良性の疾患なので、すぐに歯科医院に行って治療を受けないといけないような緊急性はありません。
しかし、生活に支障があるレベルで嚢胞が膨れ上がっている、何度も再発しているケースなどでは嚢胞を摘出するような外科的処置が必要になる場合も。
では、どの程度であれば、粘液嚢胞を放置したまま自宅で様子を見ても良いのでしょうか?その点について詳しくお伝えしていきます。
生活に支障が無ければひとまず放置してもOK
お口の中にできた粘液嚢胞は、悪性腫瘍といった速やかな治療が望まれる疾患ではないですし、悪性化するようなものではありません。また、人に感染してしまうような病気でもありませんので、粘液嚢胞の治療に緊急性はないと言えます。
仮に放置したままでも日常生活に支障がなければ、必ずしも嚢胞を摘出しなければいけないということはありません。
嚢胞の大きさがあまり変わらず、普段生活していくうえで特に気にならない方は、ひとまず粘液嚢胞の大きさに変化があるまで経過観察でもよいケースもあります。
粘液嚢胞を潰したらどうなるの?
次に粘液嚢胞を誤って潰してしまったり、嚢胞部分をわざと突っついて潰したりすると、どういった経過を辿っていくのでしょうか?
嚢胞部分の粘膜が破れると、粘稠な粘液が流れ出して膨らみがしぼみ、徐々に小さくなっていきます。このまま自然に無くなっていけばよいのですが、多くのケースでは数日くらいで再び嚢胞が膨らみ始めることが多いです。
粘膜が傷ついた後はしばらく痛むケースもあります。刺激を与え過ぎてしまうと、周りの小唾液腺を傷つけてしまいダメージがさらに大きくなる可能性も。
粘液嚢胞ができても、触ったりいじったりせずに様子を見られるのがよいでしょう。
放置しても自然に治ることはすくない
基本的に粘膜嚢胞は放置しても自然に治ることはなく、歯が当たっては破れ、また膨らみが出てくる、というように再発を繰り返すケースが多くあります。
前述したように粘液嚢胞は一般的に経過観察する場合もあるのですが、生活に支障が出たり、何度も再発を繰り返したりする場合は外科的手術を行い粘液嚢胞の原因である小唾液腺を含めた嚢胞の摘出をします。
もちろん、自然に治っていく可能性も少なからずあるので、生じたばかりの粘液嚢胞であれば経過観察を取る場合もあります。
お口の粘膜におできが出来たり潰れたりを繰り返していてご心配な方は、歯医者さんを受診されてみてくださいね。